【9月27日 MODE PRESS】9月6日から21日まで東京・渋谷にある西武渋谷店で「YOHJI YAMAMOTO 展 - Dialogue対話」が開催された。Yohji Yamamotoがパリ・コレクションにデビューして30周年という記念すべき年に開催された今回の展覧会では、これまで発表した作品の一部とピーター・リンドバーグ(Peter Lindbergh)をはじめとする気鋭のフォトグラファーたちによる写真を展示。会期中、訪れた人々による口コミも大きな反響を呼び、当初の予定を延長し16日間開催され大盛況のなか惜しまれつつも最終日を迎えた。

■貴重なアーカイブを通してYohji Yamamotoと対話

 1981年の鮮烈なパリコレデビューから30年の時間を経て今年、デザイナー山本耀司氏はフランス芸術文化勲章の最高位とされる、芸術文化勲章コマンドゥールを叙勲した。彼にとって特別な年となったこの記念すべき年に東京・渋谷で開催された今回の展覧会「YOHJI YAMAMOTO 展 - Dialogue対話」には、老若男女問わず多くの来場者が、休日はもちろんのこと平日も大勢の人が訪れた。

 会場には1984年から2002年までの間にカタログやファッション誌のために撮影された著名フォトグラファーらによって撮られた作品の数々とパリコレクションで発表されたアーカイブ作品が、今春に出版されたばかりの自伝「MY DEAR BOMB」のなかで語られた言葉と共に訪れた人に話しかける。

■Yohji Yamamotoの「物作り=生き方」

 今回、展示作品とは別に、重要な役割を果たしていたのは、会場の空間演出だ。
 手がけたスペースコンポーザーの谷川じゅんじ(Junji Tanigawa)氏(JTQ代表取締役社長)は、今回の展覧会において空間をまとめる際にキーとなったのは“言葉”だと言う。

「耀司さんの物作りの裏側にあるものを本や言葉を通じて対話してほしいと思いました。耀司さんがこの場にいなくても、“先駆者=Yohji Yamamoto”のマインドをリアルに感じられる「物作り=生き方」が感じられる空間です。

耀司さんの“言葉”が空間の間を埋めていて、それは時に音となり、メッセージとなる。それらが来た人に対して話しかけているのです。観る側の心の動きとある種の干渉がこの展覧会の醍醐味だと思います。耀司さんの言葉と服、そして写真のアンサンブルで構成された空間に身を置くことで、ジャズでいうインプロビゼーションみたいな、何が起こるかわからない立体的な空間ができ、不思議な感覚に導いてくれるのです」(谷川氏談)

■美しい緊張感漂う空間

 また、会場では先日までイギリスのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(Victoria and Albert Museum)で開催された「Yohji Yamamoto Exhibition」が制作した映像VTR「Yohji Yamamoto : The Poet of Black」も流された。貴重なインタビューやランウェイの様子が映し出される映像をスクリーン脇に設置された椅子に座ってじっくり観る観客たちは、まるでショーのフロントローにいるような感覚に陥る。まさに“Yohji Yamamoto”らしい、静寂さのなかに潜む挑発的な“黒”の空間には、美しい緊張感が張り詰めていた。【岩田奈那】

【展覧会情報】
「YOHJI YAMAMOTO 展 - Dialogue対話」
会期:2011年9月6日(火)~9月21日(水)10:00~21:00(日・祝は20:00まで)
会場:西武渋谷店A館7階特設会場
主催:西武渋谷店
協力:株式会社 ヨウジヤマモト
空間構成:JTQ谷川じゅんじ
(c)MODE PRESS

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