エルニーニョ、今年半ばまでに発生か 世界気象機関
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【1月31日 AFP】国連(UN)の世界気象機関(World Meteorological Organization、WMO)は30日、太平洋の海面水温が上昇するエルニーニョ(El Nino)現象が今年半ばまでに発生する可能性があると発表した。
WMOは「現在の(予報)モデルによる見通しは、2014年中頃に弱いエルニーニョが発生する可能性が高まっていることを示している」とした。
今後数か月間については、弱いラニーニャ(La Nina)現象がしばし発生する可能性がわずかにあると指摘している。ラニーニャはエルニーニョと対をなす、太平洋の海面水温が低くなる現象だ。
ただ、WMOによると、エルニーニョもラニーニャも観測されず、太平洋では特に変化のない状態が続く可能性が最も高いという。またそれ以降の期間については、現時点では不明瞭であることを強調しながら、「現時点で示されている長期的な見通しを踏まえると、ある程度の注意は必要だろう」と述べた。
エルニーニョやラニーニャが発生すると世界中で異常な天候が起こるとされている。
エルニーニョは、西太平洋熱帯域の海面水を西へと向かわせる貿易風が弱まり始める時期、2年~7年間隔で発生する。
エルニーニョ現象が発生すると、降水量に大幅な変化が生じ、南米西部の通常は乾燥地帯の国々で洪水や土砂崩れが起きやすくなる。また西太平洋地域の干ばつや、魚が集まる栄養分に富んだ海流の流れが変わることもある。前回のエルニーニョは2009年6月に発生し、2010年5月まで続いた。
エルニーニョが発生した後には、振り子の揺り戻しのようにラニーニャ現象が起きる場合が多い。ラニーニャが発生すると、通常は太平洋熱帯域の中部と東部で海面温度が下がる。前回発生したラニーニャは、2012年4月まで続いた。
科学者らはこれら2つの気候傾向を注意深く監視しており、両現象の発生原因は気候変動ではないとしながらも、地球温暖化による海洋温度の上昇が両現象の強度と頻度に影響を及ぼしている可能性があると指摘している。(c)AFP