【5月30日 AFP】「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」は28日、「ヴォーグ(VOGUE)」の伝説的スタイリスト、グレース・コディントン(Grace Coddington)の長年の功績を称えオマージュを捧げたショーを南仏で開催した。

 ウェールズ出身のコディントンは、そのキャリアの大半を米誌「ヴォーグ」のクリエイティブ・ディレクターとして務め、ファッションにおいて「最も印象的なイメージ」を作り出した。ファンの間では「アメージング・グレース」として知られている。

 マーグ財団美術館で開催された同ショーで「ルイ・ヴィトン」のデザイナーニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquière)は、コディントンのトレードマークとも言えるその髪にちなんで、赤髪のモデルらもショーに登場させた。

フランス南東部サン・ポール・ド・ヴァンスにあるマーグ財団美術館で開催された「ルイ・ヴィトン」2019年クルーズコレクションの様子(2018年5月28日撮影)。(c)AFP PHOTO / VALERY HACHE

 77歳のコディントンは長年、「ヴォーグ」のアナ・ウィンター(Anna Wintour)編集長の右腕として活躍し、同誌を題材にした2009年のドキュメンタリー映画「ファッションが教えてくれること(原題:The September Issue)」にも出演した。

「ルイ・ヴィトン」と契約を更新したばかりのジェスキエールは、コディントンの持つ独特のセンス、誰も挑戦しないような服のコーディネートやデザインを称えたかったと話す。「エキセントリックとは、自身の個性を磨き、ユニークな方法で物事を融合させること」だと彼はAFPに明かした。「私にとって、強烈なスタイルを持ち合わせているグレースは、ある種のエキセントリックの象徴なのです」

■ハリウッドスター

 モデルとして活躍した60年代から現代までのコディントンを、ジェスキエールは59のルックで再現した。

 コディントン本人がショーを見守る中、米ドラマ「ビューティフル・マインド」にも出演する女優のジェニファー・コネリー(Jennifer Connelly)はコディントンの自叙伝「グレース」を朗読。それに合わせモデルたちは、サンポール・ド・ヴァンス(Saint Paul de Vence)にある庭園で、アート作品の周りを闊歩(かっぽ)した。

フランス南東部サン・ポール・ド・ヴァンスにあるマーグ財団美術館で開催された「ルイ・ヴィトン」2019年クルーズコレクションの様子。写真は、ショーフィナーレに登場したデザイナーのニコラ・ジェスキエール(2018年5月28日撮影)。(c)AFP PHOTO / VALERY HACHE

 女優エマ・ストーン(Emma Stone)、イザベル・ユペール(Isabelle Huppert)、レア・セドゥ(Lea Seydoux)らもフロントローに駆け付け、コディントンの定番であるショートスカートにプリンス・オブ・ウェールズ・チェックのジャケットを合わせたスタイルや、ドットやストライプ、フラワーモチーフを多く取り入れたコレクションを見届けた。

 このクルーズコレクションに合わせたアクセサリー数点のデザインをコディントンが担当。彼女の犬や猫のイラストが、「ルイ・ヴィトン」の有名なモノグラムと融合した。

 バルテュス(Balthus)、ボナール(Pierre Bonnard)カルダー(Alexander Calder)、シャガール(Marc Chagall)、ジャコメッティ(Alberto Giacometti)、レジェ(Fernand Leger)などの作品を所蔵するマーグ財団美術館の展示作品からもインスピレーションを得たとジェスキエールは明かした。

「この場所へもオマージュを捧げたかった。私にとってここは美術財団の起源。(芸術を愛したマルグリットとエメ・マーグ姉妹)家族と(その家族が愛した)芸術家、建築物の間のラブストーリーなのです」 (c)AFP