【10月23日 AFP】紛争の傷痕が残るウクライナ東部では今年、ファッショニスタたちの間で、戦闘服やソビエト軍の式服などのミリタリーファッションが流行している。

 親ロシア派の武装勢力が事実上の首都としているドネツク(Donetsk)からは、「ザラ(Zara)」や「リーバイス(Levi's)」といった国際ブランドが撤退。これによりブティックには地元デザイナーの作品を並べるスペースができた。彼らの作品には、暗い日々の現実が反映されている。

 デザイナーのユリア・モロゾワ(Yulia Morozova)さん(27)によると、この工業都市で女性に一番人気の服装は「小さな石炭の塊」と呼ばれるモード。ウクライナ東部を象徴するものだと彼女は言う。

 ラインストーンが散りばめられた黒とグレーのロングドレスに合わせるのは、ウクライナからの独立を一方的に宣言した「ドネツク人民共和国(Donetsk People's Republic)」の青と赤の旗をモチーフにした半透明のスカーフ。その旗にも描かれている帝政時代からのロシアの国章でもある双頭のワシは、イブニングドレスにもフィーチャーされている。

 2014年に始まったウクライナ内戦では、1万人以上が命を奪われている。多くはウクライナ政府軍と親ロシア派反政府勢力の両方による無差別爆撃や大量の地雷によって亡くなった人たちだ。その戦闘も最近では低強度紛争へと落ち着いてきており、休戦協定がたびたび破られるものの弱まりつつある。だが南東部の一部は依然、分離独立派の強固な支配下にあり、ウクライナ政府はこれをロシアによる支配だと主張している。