■「無給」のインフルエンサー

 一方インスタグラムではブロガーたちから鋭い意見が返ってきた。ブランドのチアリーダーのような活動をしても「不釣り合いな利益」しかないのだとインフルエンサーたちは反論する。

伊ミラノ市内で発表された「グッチ」18年春夏コレクション会場に到着したゲスト(2017年9月20日撮影)。(c)AFP/Marco BERTORELLO

 64万人ものインスタグラムフォロワーを抱える、ブライアンボーイ(Bryanboy)として知られるトップブロガー、ブライアン・グレイ・ヤンバオ(Bryan Grey Yambao)は「『不釣り合い』な給料を得るために、インフルエンサーたちがブランドの服を着ているというイメージはばかげている」と話す。「多くのブランドがどれほどケチなのか、フォトグラファーは知っているのか。私が知る限り多くの子たちは、服を着てもなにも支払われない。『フィッテイング』に行き来するための交通費を払って、ブランドの言う通りに服を着ていることが多い。無給でね!」「インフルエンサーは、ブランドとこの使い捨てのような関係を築くために喜んでやっている。しかし、すぐにブランドは、もっとフォロワー数の多い他の子に乗り換えるんだ」とフィリピン出身のファッションブロガーは語る。

 フォトグラファーに使用料を支払わなくてはいけないことをブライアンボーイは理解していると言う。「それでも、直接雑誌やオンラインショップ、ブランドに写真を売っているフォトグラファーに対し、モデルが使用許可書の発行を求めたことはあるのだろうか?」「自身を映した写真が無許可で撮影され販売されている、とインフルエンサー、編集者、ファッションに関係する人全員が訴え始めたらどうなるか想像してほしい」とブライアンボーイは反論した。

 それでもこの関係は「インフルエンサーやセレブたちに有利なように偏っている。有名デザイナーの服を着用している写真が出回れば、その人の露出が上がる。それによってフォロワーが増え、またその人の利益となる」とアメリカ人フォトグラファー、ジェニファー・グレーロック(Jennifer Graylock)は説明する。「しかし(フォトグラファーの名前が掲載された場合)、彼らは10セントの利益を得るだけで、それ以上の得はない」(c)AFP/Fiachra GIBBONS