■「百貨店」らしくない、ロックな考え方

 従来の銀座のセレクトショップとの違いは、軽やかにジャンルを飛び越えるセレクションの幅だろう。スニーカーやトートバッグといった気取らないアイテムがハイブランドのバッグやスカーフと同列で並んでおり、ほかのテナントとは異なる雰囲気を醸し出す。

「自分が年を重ねていく上で、次に楽しみたいことは何だろう? と考えたときに、時間の過ごし方など目に見えないことだと思った。だから従来どおりのエレガントな服を置くだけじゃなくて、あえて旅先に持っていくようなおしゃれな軽いバッグを置いたりしている」と笠原は語る。「そういうちょっと精神的にロックな考え方で、百貨店的なカテゴリを壊すことを目指している」

雑貨を切り口にした豊富なセレクション(2017年4月14日撮影)。(c)MODE PRESS/Fuyuko Tsuji

■靴が女性の気分を左右する

 雑貨以外では、それぞれのコーナーで靴がポイントとなっている。「女性は気分で靴を選ぶが、靴によっても気分が変わる。ヒールを履くとフォーマル感が出るし、履き心地の良い靴を履くと気持ちが解放されたりする。だから食事に行く、プレゼンテーションをする、旅行に行く、一駅分お散歩する、といったシーンを想定して、社会との接点を意識したときのドレスアップを、靴から立ち上げていった」(笠原)

 さらにギフトのコーナーは「チャーミングな大人の女性が買えるものを編集した(佐々木)」「私自身が一番ハマっちゃった!(笠原)」と両名も笑顔を見せるほどの充実度となっている。ボールペンからキャンドル、ブローチやチョコレートに至るまで、遊び心あるセレクションについ目を奪われてしまいそうだ。

「贈る楽しさ」を感じられるラインナップ(2017年4月14日撮影)。(c)MODE PRESS/Fuyuko Tsuji

■高級なブランドバッグよりも贅沢なものって?

 銀座という立地で、東京五輪に向けてさらなるインバウンドも予想されるが、とくに海外からの視線を気にすることなく「インターナショナルな感覚を持った女性」をターゲットにしているという。ではそんな女性たちにとって、次なるラグジュアリーとはどういったものなのだろう? そう尋ねると笠原は、店頭にディスプレイしたブローチのたくさん付いたトートバッグを指さしてこう答えた。

「多くのブランドが30万円ほどのバッグを販売しているが、自分たちにとってはあのバッグがそういったものであってほしい。スーパーマーケットにも持っていけるような丈夫なトートバッグで、たとえばコーヒーの染みがついちゃってもいいし、家族からもらったキーホルダーを付けていってもいい。時間の経過を楽しんで、自分なりにカスタマイズしていくことが一番の贅沢だと思うから」

「ネクストラグジュアリー」を発信する売り場(2017年4月14日撮影)。(c)MODE PRESS/Fuyuko Tsuji

 真っ白なキャンバスに自分なりのものを描いて、世界に一つしかないものにしていくことがラグジュアリー。そんな「上質」なライフスタイルを提唱する「シジェーム ギンザ」は、確かな価値観に基づいた高感度なセレクションで女性たちを魅了していくのだろう。「大丸松坂屋」のユニークな挑戦に、今後もぜひ注目したい。

■店舗情報
・シジェーム ギンザ(SIXIÉME GINZA)
電話:03-6263-9866 ※4月20日より

■施設概要
・ギンザ シックス(GINZA SIX)
住所:東京都中央区銀座6-10-1
電話:ギンザ シックス総合インフォメーション/03-6891-3390 (受付時間10:30~20:30)
※4月20日より

■関連情報
・シジェーム ギンザHP: http://www.sixieme.jp/
・ギンザ シックス公式HP: https://ginza6.tokyo/
(c)MODE PRESS