【2月23日 AFP】(写真追加)フランスの雑誌として初めて、ファッション誌「ヴォーグ(Vogue)」フランス版3月号の表紙に、ブラジル出身のトランスジェンダー(性別越境者)のモデル、ヴァレンティナ・サンパイオ(Valentina Sampaio)が起用された。

 フランス版「ヴォーグ」は、サンパイオをたまたま男性に生まれてしまった「ファムファタール(運命の女)」と表現し、「ポスト・ジェンダーの世界で進んでいる大義の魅惑的な旗振り役」と称した。エマニュエル・アルト(Emmanuelle Alt)編集長は、「身体的な素質ときらめくような個性を超え、サンパイオは『ジェンダーの亡命者』への理解への長く苦しい闘いを体現している」とコラムで述べている。「トランスジェンダービューティー」「彼らがどのようにこの世界を覚醒させるか」という見出しとともにサンパイオが表紙を飾った同号は、2月23日に発売される。

 トランスジェンダーの人々は、次第に表に出るようになってきている。米国の五輪金メダリスト、ケイトリン・ジェンナー(Caitlyn Jenner)は、2015年に米誌「ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)」の表紙を飾り、歴史をつくった。それにより、米版「グラマー(Glamour)」誌の「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれている。

「『ヴォーグ』はトランスジェンダーの人々を支援し、称賛する」とアルト編集長はコメント。さらに、サンパイオやジェンナーを先導した存在であり、デザイナーのリカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)のミューズである先駆的トランスジェンダーモデルのリア・T(Lea T)にも敬意を表した。

 16年12月には米「ナショナルジオグラフィック(National Geographic)」誌が「ジェンダー革命」という巻頭特集を掲載し、9歳のトランスジェンダーの少女、エイブリー・ジャクソン(Avery Jackson)を紹介した。さらにTVドラマ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック(Orange Is the New Black)」の出演者でトランスジェンダーの女優ラバーン・コックス(Laverne Cox)も、2014年6月に「タイム(Time)」誌の表紙を飾った。また、化粧品大手「ロレアル パリ(L'Oreal Paris)」は、24歳のトランスジェンダーモデル兼女優のハリ・ネフ(Hari Nef)を最新ファンデーションのグローバルキャンペーンに起用している。

 アルト編集長は「トランスジェンダーが雑誌の表紙でポーズをとり、そのことに記事で触れる必要がなくなれば、我々は勝ったと知るだろう」と述べた。 (c)AFP