【1月17日 AFP】メキシコ人撮影監督のロドリゴ・プリエト(Rodrigo Prieto)氏(51)は、映画賞の受賞歴こそ少ないが、この20年にわたってそうそうたる映画監督たちと仕事をしてきた。

 2000年に米映画産業の中心地ハリウッド(Hollywood)へ移ってからは、オリバー・ストーン(Oliver Stone)監督、アン・リー(Ang Lee)監督、マーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)監督、スパイク・リー(Spike Lee)監督、ベン・アフレック(Ben Affleck)監督、カーティス・ハンソン(Curtis Hanson)監督、ペドロ・アルモドバル(Pedro Almodovar)監督といった名監督の作品を数多く担当している。

 特に同じメキシコ出身のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(Alejandro Gonzalez Inarritu)監督とは、同監督が長編映画デビューを果たした2000年の『アモーレス・ペロス(Amores Perros)』から一緒に仕事をしている。他にも『21グラム(21 Grams)』(2003年)、『バベル(Babel)』(2006年)、『ビューティフル(Biutiful)』(2010年)といった作品も手掛け、メキシコ映画復興の一翼を担ってきた。

 2月に発表されるアカデミー賞では、撮影賞の有力候補との見方も強い。作品はスコセッシ監督の『沈黙-サイレンス-(Silence)』だ。

 プリエト氏とスコセッシ監督が組んだのは今回が2作目。前作は米国の実在の株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォート(Jordan Belfort)氏の回想録に基づいた『ウルフ・オブ・ウォールストリート(The Wolf of Wall Street)』(2013年)だ。同映画は、「セックス」「ドラッグ」「ロックンロール」満載のストーリーでハリウッドに衝撃を与えた。

 今回の『沈黙』は江戸時代の日本、キリシタン弾圧下のポルトガル人宣教師を描いた歴史大作で、前回作品とは全く違う世界が描かれている。劇中ではロケ地・台湾の霧が立ち込める険しい海岸線のパノラマが映し出されている。

 忠誠、信仰、罪、犠牲などを深く沈思する『沈黙』は、冒涜(ぼうとく)的な言葉や犯罪、性的描写にあふれた『ウルフ・オブ・ウォールストリート』とは対極にある。

 AFPのインタビューに答えたプリエト氏は「ニューヨーク(New York)から来た男と、メキシコ市(Mexico City)から来た男が、日本にいたポルトガル人司祭の映画を撮った。私たち2人にとってはすごく異なる環境だったが、非常に素晴らしく、まさに冒険だった」と述べた。