【11月7日 MODE PRESS WATCH】三越伊勢丹グループが、写真動画共有サイトのインスタグラム(Instagram)を通じて新しい日本の魅力を発信するインスタグラムプロジェクト「#_this is japan」。このゲストフォトグラファーとして10月初旬、23万人のフォロワーを持つアーティスト、ローラ・イー・プリチェット(Laura E. Pritchett)が来日した。世界的インスタグラマーとして活躍する彼女の撮影現場に同行し、話を聞いた。

■練習動画から世界へ

 ローラがインスタグラムを始めたのは、サイトがローンチした翌年の2011年。当初はその使い方さえ分からなかった。「ある日、アップした写真に見知らぬ人からコメントがきていて。驚いたけれど、そこで初めて画像を共有するサービスだと知った」。次第に、軽やかな布のなびきで風の動きを表現した一連のシリーズ作品で注目を浴びるようになり、今やニューヨーク、ロンドン、バンコク、モスクワなど世界各国に熱狂的なフォロワーがいる。

 インスタグラム以外のSNSサイトへの作品投稿も、躍進の鍵となった。その名が一躍広まるきっかけとなったのが、動画共有サービス「バイン(Vine)」に投稿したひとつの作品。自宅の裏庭で“練習用”として撮影したわずか6秒の「風になびく布」の動画が話題となり、以来「コーチ(Coach)」「コール ハーン(COLE HAAN)」「ギャップ(Gap)」などの名だたるブランドの広告にも起用され、独自の才能を発揮してきた。

三越伊勢丹グループインスタグラムプロジェクト「#_this is japan」作品の一部(c)ISETAN MITSUKOSHI/Laura E. Pritchett

■独学が生んだクリエーション

 全米で2番目に小さなデラウェア州に生まれ育ち、子どもの頃から絵を描くのが好きだったという。隣家へ行くにも、自転車が必要なほどの自然豊かな地で、現在もそこで夫と2歳半になる娘と生活し、画家として、インスタグラマーとして日々創作活動に励む。主な撮影場所は、家の裏庭だ。

 驚くことに、何年も撮影機材として使用していたのはiPhone。自然光を大切にし、画像加工もあまり施さない。さらに、絵や写真を勉強したこともなく、すべてが独学だという。「父が趣味で写真を撮っていたけれど、技術的なことは教わらなかった。都会に生まれ育ち、学校で専門的に技術を学ぶ写真家もいるけれど、私はまったくの独学。何にもないところで育ち、先生と呼ぶような人もいない。でも、そのことが他の人とは違う作品を生み出すアドバンテージになったと感じる」

■アメフト会場5つ分の観客?

 人物写真も多く投稿するが、そのほとんどが被写体の表情がはっきりと見えないようになっている。ローラはその意図を「鑑賞者は、その見えない顔に友人や家族、あるいは自分を投影し、想像し、何かを感じる。受け取った人が、それぞれに感じる。そういう奥の深さが写真の魅力だと思う」と語る。

 SNS時代のクリエイターとして活躍するローラ。自身のフォロワー数をアメリカンフットボール会場5つ分の観客数に喩え、「写真を投稿すると、その会場スクリーンに自分の作品がぱっと表示され、多くの人が見るようなもの。本当にすごい事だと思う」と語る。創作の源について聞くと、「内側からから自然と湧き出てくるもので、私にとっては止められないもの」。そう微笑み、天性のセンスを持つクリエイターとしての顔をのぞかせた。

ゲストフォトグラファーとして来日し、表参道で撮影するローラ・イー・プリチェット(2016年10月7日撮影)(c)MODE PRESS/Mana Furuichi

 そんなローラならではの視点で切り取った「日本」の姿は、スペシャルサイトおよびインスタグラムの公式アカウント(@thisisjapan.isetanmitsukoshi)から見ることができる。

■関連情報
・「#_this is japan」スペシャルサイト:http://this-is-japan.jp/
・ローラ・イー・プリチェット 公式サイト:http://lauraepritchett.com/
・ローラ・イー・プリチェット インスタグラム:https://www.instagram.com/bythebrush/
(c)MODE PRESS