画家ヒグチユウコ～美しさと毒のはざまのファンタジー
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【10月11日 MODE PRESS】『ふたりのねこ』や『ボリス絵日記』など数々の書籍で知られる画家、絵本作家のヒグチユウコ（Yuko Higuchi）の展覧会「GUSTAVEくん by HIGUCHI YUKO」が、東京・銀座のポーラ ミュージアム アネックスにてスタートした。9月に白泉社から発売される新作絵本『ギュスターヴくん』より、厳選した書き下ろし原画を見ることができる注目のエキシビションだ。
■トレードマークとなった猫の絵
ヒグチユウコは東京在住の画家。「マジョリカマジョルカ（Majolica Majorca）」や「ラデュレ（LADURÉE）」といったブランドとのコラボレーションも多く、リアルで繊細なタッチで描かれた描画は多くの女性を虜にしている。動物や少女をモチーフにした幻想的な作風で知られるが、中でも愛らしい猫のイラストはヒグチの代名詞。今でも猫のイラスト依頼はひっきりなしだというが、描き始めた理由は「オファーが多かったし、12年ほど前に猫を引き取ったのでモチーフになりやすかった」と本人は語る。また自身の「猫仲間」であるアーティストの愛猫たちがモデルとして登場することも多いという。
ヒグチの人気がブレイクしたきっかけはマイクロブログサービスのタンブラー（tumblr）。またツイッター（Twitter）で発表していた『#ヒグチユウコ絵日記』も書籍化されるなど、インターネットの影響は大きい。「SNSを利用し始めたのは、お金をかけずに作品を見せられるから。画像を勝手に商品化されるなど悲しいことも多いが、おおむねプラスに働くことが多い」とその手ごたえを語る。ちょっぴりシュールでくすっと笑える日々の絵日記や写真はツイッターで今も公開中。8万人近くのフォロワーを誇るのも納得の魅力だ。
■かわいい？ かわいくない？
しかしかわいさだけでなく、毒の部分も秘めた作風は「ダークファンタジー」とも評される。カエルやカタツムリなど生物全般を愛し、孤高な芸術家ヘンリー・ダーガー（Henry Darger）やホラー漫画家の楳図かずお（Kazuo Umezu）が好きというヒグチ。とくにグロテスクなものが好きなわけではないが「不思議と心を奪われる」と語る。「美しさの定義は人それぞれだけれど、『かわいいのかな？ かわいくないのかな？』というせめぎ合いを生むものは印象が強いし、『また見たい、会いたい』と人は思うんじゃないかな」
今回の新作は、顔は猫、足はタコ、手が蛇という“ギュスターヴくん”が主人公。ギュスターヴとは巨大なナイルワニの種類だというが、「何となく描いてるうちに出来たキャラクターで、頭部はうちの猫ボリス（Boris）がモデル。当初は脚が2本でワニの尻尾があったが、ぬいぐるみ作家の今井昌代（Masayo Imai）さんと立体化をすすめたらなぜか6本のタコのような脚になった」とその誕生秘話を明かす。
「ギュスターヴくんはいじわるばかりしている、すごく悪い子。でも無邪気で憎めない。だから会場を真っ暗にして、そこにスポットライトを当てて美しく見せたかった」。床まで黒で統一した展示会場では、今井と世界観を共有して制作した共同作品もあわせて展示されており、立体化されたギュスターヴくんも登場する。
「私はあまり道徳的すぎるお話が好きではなく、勧善懲悪にも興味がない。自分が子供のころに好きだった絵本も、『だからなんなの？』みたいな話のほうが多くて（笑）お話より、描かれたものの細部が印象に残っている」というヒグチ。「だから今の子供たちにもページの中でいろんな発見をして『なんだろうこれ？』って考えてもらいたい」
展示は11月20日まで銀座で開催される。美しい原画の数々はファンならば必見、ぜひさまざまな『発見』を楽しんでほしい。
■展覧会概要
・GUSTAVEくん by HIGUCHI YUKO
期間：11月20日まで 会期中無休
時間：11:00～20:00 （入場は19:30まで）
会場：ポーラ ミュージアム アネックス
東京都中央区銀座 1-7-7 ポーラ銀座ビル 3 階
電話：03-5777-8600（ハローダイヤル）
■関連情報
・ポーラ ミュージアム アネックス 公式HP：http://www.po-holdings.co.jp/m-annex/
・ヒグチユウコ 公式HP：http://higuchiyuko.com/
(c)MODE PRESS
