【5月19日 MODE PRESS WATCH】「銀座メゾンエルメス フォーラム」では6月4日から、「奥村雄樹による高橋尚愛」展を開催。歴史に埋もれていたアーティスト高橋尚愛(Hisachika Takahashi)氏を核に、作品解釈をアートで表現する奥村雄樹(Yuki Okumura)氏と、高橋氏自身の作品を展示する。

 高橋尚愛氏は1962年に渡伊後、ミラノで前衛芸術家のルーチョ・フォンタナ(Lucio Fontana)、ニューヨークでネオダダの代表的美術家ロバート・ラウシェンバーグ(Robert Rauschenberg)のアシスタントを務め、両者とのコラボレーションによる作品も手がけた作家でありながら、その活動はこれまであまり知られてこなかった。

 一方、奥村雄樹氏は、美術史の再訪や他者の作品解釈などをテーマに活動するアーティスト。アントワープの伝説的な画廊「ワイド・ホワイト・スペース」で行われた高橋氏の個展の資料にインスパイアされて、作者についてリサーチを開始。当時のギャラリストによる協力や高橋氏本人との交流といったプロセスを経て、2人のアーティストによる本展覧会が実現した。

 奥村氏の作品では、自身が“高橋氏”になりかわってインタビューに答える映像作品などを通して、高橋氏や高橋氏の作品を拡張し新たな解釈を加える取り組みを披露する。また、高橋氏がかつてジャスパー・ジョーンズ(Jasper Johns)やゴードン・マッタ=クラーク(Gordon Matta-Clark)など22名のアーティストに依頼し、記憶だけを頼りに描いてもらったアメリカの地図も公開され、70年代ニューヨークのアートシーンやコミュニティを蘇らせる貴重な資料としても鑑賞することができる。この展覧会を通して、他者の記憶やイメージを通して歴史に介入できる疾走感をぜひ味わいたい。

■展覧会概要
・「奥村雄樹による高橋尚愛」展
会期:6月4日~9月4日、月~土曜11:00~20:00(最終入場19:30)、日曜11:00~19:00(最終入場18:30)、会期中無休
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム
東京都中央区銀座5-4-18階
電話:03-3569-3300

■関連情報
・エルメス 公式HP:www.hermes.com
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