【12月15日 AFP】フランスの高級ファッションブランド「エルメス(HERMÈS)」の時計部門、ラ・モントル・エルメス(La Montre Hermès)の最高経営責任者(CEO)に今年3月に就任したローラン・ドルデ(Laurent Dordet)氏(47)は、ブランドが培ってきたノウハウにフェミニンさをプラスすることで、時計業界が直面している「困難な時代」を乗り切っていく考えだ。

 ドルデCEOはAFPの取材に対し、すでにブランドの販売の8割を占めているレディースウオッチに、さらに重点を置きたいという考えを示した。女性用の時計に宝石をあしらうなど、幅広い可能性を模索していく方針で、「とにかく女性らしいアイテムの開発を計画している」のだという。

 シルクのスカーフや、ブランドのトレードマーク的存在にもなっているハンドバッグなどで世界的に知られているエルメスは現在、高級時計市場におけるシェアを広げようと奮闘している。

 同社の時計部門CEOを6年務めた後、「ラルフ ローレン(Ralph Lauren)」に移ったリュック・ペラモン(Luc Perramond)氏の後を引き継いだドルデ氏は、さまざまな改革や組織改編を計画中だ。ただ、スイスの時計メーカーが軒並み苦戦を強いられているなか、大規模な新規投資に踏み切るのは得策ではないことを指摘しながら、「買収については考えていない」と強調した。

 アジア地域で好調に売り上げを伸ばしてきたスイスの各時計メーカーだが、ここ最近は、最大市場である中国と香港(Hong Kong)への輸出が激減。その上、スイスフラン高騰による生産コスト増も重くのしかかった。そういった理由から、エルメスは新たな買収先を探すよりも、内部を徹底的に見直すことを選択した。