【6月4日 AFP】高級宝飾ブランド「カルティエ(Cartier)」は27日、腕時計型多機能情報端末のスマートウオッチ市場には参入しない方針を明らかにした。どんなハイテクガジェットも、創業168年の同社が誇る伝統的な時計とは、比べ物にならないという見解だ。

 アップル(Apple)やソニー(Sony)、LG、サムスン(Samsung)といったメーカーがこぞってインターネットに接続できるスマートウオッチを量産する中、「カルティエ」のスタニスラス・ド・ケルシズ(Stanislas de Quercize)CEOはAFPに対し、「(スマートウオッチは)便利ではありますが、感情を喚起させるものではありません。これに対しわが社の時計は全て、感情と強い結びつきを持っているのです」と語った。

 同ブランドは、フランス・パリのシャンゼリゼ通り(Champs-Elysees)に構えるブティックを8か月かけてリニューアルしたばかり。同店の再オープンに当たりケルシズCEOは、ハイテクグッズがもてはやされる時代にあって、スマートウォッチへの期待と需要は確かにあると認めたものの、伝統的な時計の「完全に補完的な立場」にすぎないと断言。「スマートフォンやインターネット接続の時計でも時間は分かるが、過ぎ行く時間の貴重さまでは伝えてくれない」

 人気が高まっているスマートウオッチ市場に冷たく背を向ける同社の態度は、スイスの高級時計メーカー「タグ・ホイヤー(TAG Heuer)」が今年3月に示した決断とは正反対だ。同社はグーグル(Google)やインテル(Intel)と連携し、「アップルウォッチ(Apple Watch)」に対抗できるスマートウオッチの開発に当たっている。

 LVMH モエヘネシー・ルイ・ヴィトン・グループ(LVMH)の傘下にある「タグ・ホイヤー」の新しいスマートウオッチは、今年中に発売される見通し。一方「カルティエ」は、世界第2位の高級ブランドグループであるリシュモン(Richemont)グループの傘下にある。(c)AFP