【12月19日 MODE PRESS】兼松繊維株式会社とフェニックスインターナショナル(株)を展開するKTC Group(KANEMATSU TEXTILE GROUP)が、来年1月1日付けでフォワード・アパレル・カンパニー(Forward Apparel Company)に社名変更する。これに伴い、兼松繊維(株)はフォワード・アパレル・トレーディング(Forward Apparel Trading Corporation)に、フェニックスインターナショナル(株)はフォワード・アパレル・リミテッド(Forward Apparel Limited Corporation)にそれぞれ名前を変更する。

 兼松繊維は2007年から、香港を拠点に貿易、物流、流通、小売事業を展開するフォン・グループ(Fung Group)の傘下に入っており、2012年には同グループ内のフォン・ジャパン・ディベロップメント(Fung Japan Development Co., Ltd.)が兼松繊維の株式を100%取得していた。社名変更は2012年の契約当時からの決定事項であったが、これを機にこれまで主力事業としてきたOEM、ODM事業やテキスタイルの輸出も維持しつつ、ブランドビジネスに力を入れ、ブランド力の強化、ディストリビューションの強化を図っていく。

■海外ブランドの輸入・販売

 15/16年秋冬シーズンから米スキーウェア・ブランド「SPYDER(スパイダー)」と豪スポーツブランド「2XU(トゥータイムズユー)」の輸入販売を開始する。両ブランドともにフォワード・アパレル・カンパニーが日本での総輸入販売元となる。

■オリジナルブランドの立ち上げ

 「イリアンローヴ(iliann loeb)」などを手がけてきたイエリデザインプロダクツ(株)の手塚浩二(Koji Tezuka)代表取締役をプロデューサーに迎え、メンズ・レディースブランドを展開する。

 メンズブランド「エレホン(Erewhon)」では、「ファクトタム(FACTOTUM)」の有働幸司(Koji Udo)氏をデザイナーに起用。30~40代をターゲットに、レザー、デニム、ニットを中心としたアイテムを展開する。また、自転車通勤のサラリーマンが増えている背景などを考慮し、サイクリング時にも着用できるスーツの開発なども視野に入れているという。

 レディースは、「ステイアー(Stay A)」と「ステイシー(Stay C)」の2ブランドを立ち上げる。「ステイアー」では30~40代向けにベーシックでコンサバティブな服を展開。「ステイシー」はハイブランドには手が届かないがファストファッションでは物足りないという層に向け、カジュアルだがコンテンポラリーな服を提案していく。

■ブランドビジネス強化の背景

 フォワード・アパレル・カンパニーの長ヶ部良一(Ryoichi Osakabe)代表取締役社長は、ブランドビジネス強化への背景について、「商社そのものの役割は変わってきているのに、これまで会社自体のあり方をなかなか変えられなかった。バリューのない会社は今後も評価されない。自分たちのバリューは何なのかを考えたときに、やはりブランドを作るしかないと考えた」と説明。

 また、手塚氏は「商社同様、アパレルのあり方も変化してきている。今まで自分の会社は企画でやってきたが、生産が減ったり、素材が入らなくなったりなど難しい問題が増えてきた。フォワード・アパレル・カンパニーと組むことで、デザインから販売までの流れが非常にスムーズになる。また、世界中に拠点があるというスケールの大きさも魅力に感じている」と語った。(c)MODE PRESS