【10月21日 AFP】仏パリ(Paris)では今週、様々なアート関連の催しが行われているが、ブローニュの森(Bois de Boulogne)の一角に出現したガラスの船のような建築物は、10年以上の歳月をかけてようやく完成した「ルイ・ヴィトン・ファウンデーション(Louis Vuitton Foundation)」の施設だ。

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ・ヴィトン・グループ(LVMH)を率いるベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼CEOが出資する同施設の外観は、12枚のガラスの「帆」でできた透明な雲がうねるような形状をしている。設計は、米ウォルト・ディズニー・コンサートホール(Walt Disney Concert Hall)やスペイン・ビルバオ(Bilbao)のグッゲンハイム美術館(Guggenheim Museum)を手掛けた建築家フランク・ゲーリー(Frank Gehry)氏(85)が担当した。

 20日の落成式には、フランソワ・オランド(Francois Hollande)仏大統領が出席。モナコ公国の元首アルベール2世公(Prince Albert II)や米ファッション誌「ヴォーグ(VOGUE)」のアナ・ウィンター(Anna Wintour)編集長、「シャネル(CHANEL)」のクリエーティブ・ディレクター、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)氏らの出席も報じられていた。

「パリに、文化大国フランスの使命を象徴する堂々とした船をデザインしたかった」と述べる設計者のゲーリー氏は、自身の作品を「氷山」と「船」と表現。ガラスが多用された19世紀末の庭園建築の軽快さから発想を得たと話している。

 ルイ・ヴィトン・ファウンデーションのウェブサイトには、「非常に特殊な建築だ。これに似たものは設計したことがない──21世紀を象徴する建物だ」との設計者の言葉がみられる。

■国際現代アートフェア、ピカソ博物館リニューアル・オープンも

 ルイ・ヴィトン・ファウンデーションのきらびやかな落成式の他、パリでは芸術関連の催しが集中しており、あたかも「アートウイーク」の様相を呈している。23日からは大展示施設グラン・パレ(Grand Palais)で、26か国191のギャラリーが参加する国際現代アートフェア「フィアック(FIACFoire Internationale de l’Art Contemporain)」が始まる。また5年の改修期間を経たピカソ美術館(Picasso Museum)も展示面積が以前の2倍の3800平方メートルに増えて25日、再オープンする。

 その一方、パリ市内バンドーム広場(Place Vendome)に16日から展示されていた米芸術家ポール・マッカーシー(Paul McCarthy)氏の作品「ツリー(Tree)」は、「大人のおもちゃ」に似ているとして波紋を呼んだ末、週末に空気を抜かれるという災難に見舞われた。この件についてオランド大統領は「フランスはいつでもアーティストたちの見方。作品を傷つけられたマッカーシー氏についても同様だ」と述べ、作者を擁護した。(c)AFP/Fran BLANDY, Antoine FROIDEFOND