【9月30日 MODE PRESS】ドイツの老舗ジュエリーブランド「ウェレンドルフ(Wellendorff)」が日本初のブティックを、10月2日 東京・六本木にあるザ・リッツ・カールトン東京にオープンする。120年以上続くブランドの4代目社長を務めるクリストフ・ウェレンドルフ(Christoph Wellendorff)氏に話を聞いた。

■インタビュー:クリストフ・ウェレンドルフ

 ウェレンドルフは、いまから121年前、当時私の曾祖父がドイツで創業したジュエリーブランドです。これまで我々が最も大切にしてきた理念は、全ての物の中から最善のものを集めてジュエリーを創るということです。例えば素材であれば一番質の良いもの、技術も当時の南ドイツで得られた一番優れた技術を使うことです。伝統と技術、そしてなによりも真心は、我々の目の届くところで直に教育することが大切だと思っています。そういった理由から、人材育成のためのアカデミーも運営しています。

―真の価値

 ウェレンドルフを語る上で欠かせないのは、ジュエリーの中に込められた「真の価値」をお客様にお伝えすることです。単にジュエリーとしての価値だけではなく、時にそれは真の友情や愛情、幸福を意味します。ウェレンドルフは会社ではなく、あくまでも家族だと私は思っています。それは自分の家族だけでなく働くスタッフなど、同じ目的を持って進んでいく仲間だと思っているのです。それらをモットーに、代々受け継ぎ、愛情を込めてジュエリー作りに励んでいます。

―次世代に何を伝えるのか

 我が家には、ある決まりがあります。30年おきに「ジェネレーションレポート」をその代を受け継いだ人間が提出するというものです。誰がどういうタイミングで、何を成し遂げたのか、人生においてなにが重要だったか、何に感動したのか、将来何が重要だとそのとき考えたかをその本に書き込んでいます。

 退職する直前に振り返って、いかに満足のいくジュエリーを、誠実に創れたかどうか、また自分が美しいと感じたヒストリーやエピソードも書かれています。1つ共通点を見つけるとすれば、家、家族という言葉ですね。いかにして家族の絆を保ってきたのかがそこには書いてあります。いずれこれは、息子(現在18歳)が受け継ぐことになります。

―妻への愛がジュエリーに

 前述したレポートのなかには、「愛情」がどのようにしてアイデアからジュエリーになったのかという過程も書かれています。シルクコーディルというウェレンドルフの代表的なアイテムは、シルクの感触を金で表現できないかということろからスタートしました。見た目だけでなく、実際に身に着けたときにシルクの風合いが感じられるものが欲しいと、先代の妻、つまり私の母がリクエストしたそうです。いつの時代も女性は、インスピレーションの源になってくれる存在です。

―ウェレンドルフが思い描く女性像

 ウェレンドルフには強い女性が必要です。日本の女性もずいぶんと強くなりましたよね。世界中の女性が「自覚」を持つようになったというのは、個人的には非常に良いことだと思いますし、そのような女性にこそ、ウェレンドルフは満足していただけるのではないでしょうか。ここぞといった時に、またはビジネスシーンやカジュアルな場面でも、どんなシチュエーションにおいても、活躍していくれるはずです。

―新ブティックでブランドを体感

 ウェレンドルフのブティックは単なるジュエリーショップという位置づけではなく、お客様の真の価値の故郷であると考えています。ですから、店内ではいろいろなストーリーを肌で感じていただけるはずです。120年の歴史が理解していただけるような空間に仕上がっているとおもいます。是非、今回のブティックでブランドの世界を感じていただければうれしいです。
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