【8月19日 MODE PRESS】1803年創業の香水と化粧品のブランド「ビュリー(Buly)」がいま仏・パリで話題になっている。パリ6区のギャラリーが建ち並ぶボナパルト通りにオープンした「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(Officine Universelle Buly)」を21世紀に復活させたのは、ヴィクトワール・ドゥ・タイヤック(Victoire de Taillac)とラムダン・トゥアミ(Ramdane Touhami)夫妻だ。今回、来日していたラムダン氏に話を聞いた。

-今回の来日目的は?

 化粧品の原材料を作っている生産者の方たちに会うため、約2週間の滞在を予定しています。BULYの製品は、世界中からおもしろい、そしてそれぞれの国で良いとされている最高の素材を集めています。

-なぜBULYを復活させようと思ったのですか?

 BULYを手がける前に、ルイ14世の時代から続くキャンドルブランド「シール・トリュドン(Cire Trudon)」の復活を成功させました。パートナーのヴィクトワールと美容関係の仕事をいくつも手がけてきましたが、以前からパリには古くからやっているようなビューティーショップがないなと思っていました。BULYは19世紀からあるとても歴史のあるビューティーショップだったのですが、時代の経過とともに、忘れ去られてしまった。そこで会えて今、これを再び仕掛けるとおもしろいのではないかと思い、挑戦しました。

-一番こだわった部分はなんですか?

 私たちは、最高の商品を作ることが最高のマーケティング戦略だと考えています。良いものをつくれば、あえてマーケティングをしなくても、人は買ってくれると信じています。ですから、『本物を作る』『本物である』ということが重要でした。BULYをはじめるまでに、3年以上の時間をかけて準備しました。焦らず、時間をかけてひとつひとつの段階を踏んで、今日に至ります。

 たとえば、製品のボトルやラベルのデザインは、1900年代にかけてのフランスの美容アイテムを参考にして私たちなりに考え、作りました。プラスチックは我々が思い描くブランドのビジョンとは違うとおもったので、一切使っていません。ガラスの容器や、チューブも昔ながらの素材を使用しています。また当時と今では、製品構成もまったく違います。昔のままでは、現代人の肌に合わなかったり、成分的にも違和感を覚えると思いました。今回、我々がBULYを復活させるにあたって最も大事にしたのは、BULYという名前と当時の雰囲気、そしてブランドの魂です。

-原材料についても教えてください

 世界中の約400以上もの生産者と取引をしています。歴史を振り返ってみると、その国その国で言い伝えられている秘伝の美のレシピや秘密が沢山あります。たとえば日本だと、うぐいすの糞や椿オイルなど。そういったナチュラルなものを探し求めて、インドやオーストラリア、エジプト、ソマリア、ギリシャ、韓国、アメリカ、コロンビアなどを飛び回っています。

-人気の製品はなんですか?

 BULYは、女性用、男性用と製品を区別していません。特に人気の製品は、ハンドクリームです。毎月約700本くらい売れています。お土産やちょっとしたギフトに喜ばれているのが、歯磨き粉です。水で作った香水も人気ですね。BULYの製品が揃うと、バスルームが華やかになりますよ!

-製品のこだわりは?

 ハンドクリームはフランスのノルマンディー地方で生産しています。牛乳の石鹸はアルザス地方。歯磨き粉はマルセイユの近くで作っています。製品の8割以上はフランスで生産しています。これも私たちがBULY再建にあたり、こだわっているポイントでもあります。

-日本の人たちにコメントをお願いします

 是非パリのお店に来てください。BULYは価格もリーズナブルですし、製品も非常に良く、おもしろいモノばかりです。9月からインターネット販売を始めるのでぜひ日本の皆さんも利用してもらえればうれしいです。
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