【9月27日 MODE PRESS】「美容」や「ビューティ」と言う言葉に「男性」という言葉が冠されるようになったこの頃。対岸の火事のように関係ないとボーッと見つめている人もいれば、積極的に取り入れようと懸命な男性もいる。この差は一体、何か?

-高級スーツが一瞬で台無しに

 若い世代はそうでもないが、「美容」というと受け入れ堅く感じてしまう男性も存在する。「美」という文字が男性をどうやら遠ざけてしまうようだ。美というとそこから「化粧」を連想し、関係ないとシャットダウンする。しかし「身だしなみ」と言い直すと、ほとんどの人が「それは必要だ」と共感してくれる。では、美容に無関係と思っている男性のために、こんな例を挙げてみよう。

 たとえば、「ブリオーニ(Brioni)」のスーツを着て、ビジネスに臨んだとしよう。仕立てのよいスーツは自信が溢れ、貴方を格上げしてくれるだろう。しかし、そこにフケが落ちていればその効果は激減し、貴方の清潔感は地に落ちてしまう。

 たとえば、「ジョン・ロブ(John Lobb)」を履いていても、座敷に上がるために脱いだ途端、足から異臭が漂えば貴方と食事を共にしたいと思う人はいなくなる。靴の手入れに心血を注ぐ男性の何割が、その中に入る足のケアをしているのだろうか。

 このようなことも実は「メンズ美容」の範疇になる。それでも貴方は無関心でいられるだろうか?

-働くスタンスが一変した

 今、我々男性は過渡期にいる。戦後、額に汗をして働いてきた世代が作り上げたこの素晴らしい日本。自分を省みることよりも、家族のため、社会のため、と発展を願い、それを実現してきた。徹夜も厭わず、風呂にも入らず、無精ヒゲだらけでも、文字通り汗臭くても、仕事のためならば、なりふりなんて構っていられなかった。否、構っていない人を周囲は、社会は誉め称えた。そんな状況の中で、自分の身だしなみのために貴重な時間を割く男は「女々しい」とさえ言われていたのだ。

 しかし、今ではその「汗」が嫌われる。「ニオイ」が嫌われる。

 「清潔感がない」ことは「ビジネスパートナーとして適さない」とさえ認識されてしまう。仕事に、生活にそういう泥臭さを持ち込むのは、もはやスマートではない。これは善悪の問題ではなく、時代とともに価値観が変容してきているのだ。

-不潔が人を遠ざける

 そうであるならば、身だしなみを、美容を、気にしようという男たちが出てこないわけがない。いわゆる「モテ」というのもその表層だろう。きちんとしているほうが他人から見た場合、断然印象がよい。だとしたら洋服に気を遣うように、ヘアスタイルやネイルケアをやろう、と思い始める。賢明なビジネスパーソンは、モテのような浅薄な動機だけでは動かない。清潔な肌や安心感を与える見た目は確実にビジネスツールになる。特定の人に向けたアピールである場合、それはモテになるのだろうし、それが対社会になると「身だしなみ」や「気遣い」ということになる。

 逆に不潔によって、マイナスの印象を相手に与えてしまうと、それはとてつもなく大きなハンデになるだろう。マネージメントセンスに溢れた敏感な人々は、そのことに気づいているのだ。不潔であることが仕事や生活に支障をきたすということに。

 この連載では自分を気遣うことは決して悪いことでない。そして、決して女々しいことでもないということを、世の男性に伝えていきたい。次回はブームとして終わらない男性の美容をさらに検証していく予定だ。身だしなみを整えることは、すなわち内なる自分と向き合い、自身をさらに高めていこうとする努力に他ならないのだから。【藤村 岳】

プロフィール
DANBIKEN~男性美容研究所~を主宰する男性美容研究家。 男性の身だしなみの専門家としてテレビ・ラジオの出演や、雑誌・ウェブでの執筆活動を行う。「美しくなるよりも、嫌われない美容」が男性には必要とのモットーがあり、やりすぎない男性美容を提案している。 また、男性のためのパーソナルカウンセリングや講演・イベントなども開催。 最近は男性コスメ商品の企画開発、コンサルティングなども行っている。
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