【11月8日 marie claire style】メンテナンスをすれば100年以上使え、機構自体も工芸的に美しく、適度に手間が掛かって愛おしい・・・これまで、機械式時計の様々な魅力を語ってきました。そんな機械式ムーブメントはデザインの面でも、クォーツ式よりもはるかにバリエーションを豊かにしてくれます。なぜなら機械式の動力源であるゼンマイは、クォーツ式を動かすモーターより圧倒的にパワーが強いから。腕時計のケースに組み込めるような超小型のモーターの力では、大きな針やゴールド製などの重たい針は動かせません。対してパワフルなゼンマイは、大きく重い針でも楽々と回すことができ、デザインの幅を広げてくれるのです。

 さらに針以外を使った時刻表示の仕組みも、懐中時計の時代から色々と試みられてきました。針に代わってダイヤルの中央とその外周にセットした2枚のディスクの回転を利用して時を示すミステリーと呼ばれる機構も、機械式ならではの時の表現の一つ。ブルガリは、このミステリー機構を「ディーヴァ ドリーム ローマンナイト」ウォッチに用い、可憐で豪華な外観を創出しました。時と分を示すそれぞれのディスクは、天然石のアベンチュリン製。アワーを示すディスクには一粒のダイヤモンドがセットされ、その位置で現在時刻を知る仕掛けに。その外側のミニッツディスクには、分表示用に加え、星座をデザインしたダイヤモンドがちりばめられています。イタリアを代表するハイジュエラーらしい美を湛えるディスクは、結果として、かなりの重量になっていますが、ゼンマイのパワーは、その重さに決して負けません。搭載されるのは、ブルガリが開発・製造した自社製ムーブメント。実はブルガリはスイス各地にムーブメントやケース、ダイヤルなどのアトリエを持ち、自社製造しています。イタリアの感性とスイスの時計製作技術とが融合し、ミステリアスで美しい機械式時計が生まれました。

■プロフィール
髙木教雄(Norio Takagi)
1962年生まれ。ライター。時計を中心に建築やインテリア、テーブルウェアといった「ライフスタイルプロダクト」を取材対象に専門誌や雑誌で幅広く執筆。スイスの新作時計発表会の取材も、99年より継続して取り組んでいる。独立時計師フランソワ・ポール・ジュルヌ著『偏屈のすすめ。』(幻冬舎)の監修・解説も担当。

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(c)marie claire style/selection, text: Norio Takagi