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【8月30日 marie claire style】先日、7年ぶりに名刺を刷新した。自分らしさを表現するツールとして、せっかくなら日仏にゆかりのある色を探そうと考えたのだが、この作業が図らずも自身に潜む思い出の棚卸し的作業となったのだった。

 色は単色ではなく、組み合わさることでひとつの視覚言語としての意味合いを持つ。例えば、赤という色は血や魔といったイメージを連想させる一方、桔梗のような青紫、そして絡み合うような電線のコントラストが入ることで、夢のはじまりのような夕暮れどきの茜空が完成する。心に秘めた思い出の情景と色彩との関係について考えたとき、ふと浮かんだのが今年15周年を迎えた「SUQQU」だった。

「SUQQU」のすべてのカラーアイテムには、「輝桜」「涼月」「惚紅」といった日本の情景を想起させる名称がついている。眺めたり纏ったりするだけで、プルースト効果のように、見る者をどこか懐かしい場所へと誘ってくれる。なかでも、私たちの日常とノスタルジーを切り取り、色鮮やかに投影したカラーパレットは、ベース、アソート、インパクトカラーといった異なる表情を組み合わせている。また、同ブランドの処方はマチュアな女性ならではの骨格や陰影に溶け込むよう、上質なパールや湿度を内包したマットパウダーなどの複合的な質感がモデリングされている。つまり、控えめであり大胆、端正なのにセンシュアル、移ろうモードと不朽の日本美といった、アンビバレントな魅力をつくり出すことができるのだ。

 話は逸れるが、私と「SUQQU」の出会いは少女と大人の境目である19歳だった。今でも鮮明に当時の感覚を思い出せるほどセンセーショナルだった田中宥久子氏提唱の「顔筋マッサージ」は、初めて自分の顔つきへの責任というものに意識を向けたきっかけにもなった。アルバイトで貯めたお金で手に入れた〝憧れのクリーム〞は決して安くはない買い物だったが、自分の手をしっかり動かすという習慣は今でも生きている(かの黒柳徹子さんも、日々実践している美容法のひとつだということを先日著書で知った)。15年のときを経て、大人特有の肌悩みに直面することも増えてきた。しかしその一方で、息づくような光と色を呼び込めるアイパレットを使いこなせるようになってきたのは、年齢を重ねてきたことへのご褒美なのかもしれない。

 最後に、色彩は自身の肉眼に映るものがもっとも美しく鮮やかで、心に訴えるものがある。たとえどんな最新のカメラをもってしてもだ。見渡せばウィンドーはもう秋色に染まりはじめている。さっそく、自分らしい日本美を表現するパレットを探しに出かけてみよう。

■プロフィール
小西俐舞ナタリー(Nathalie Lima Konishi)
フランス人の父を持つビューティアクティビスト。モード系美容誌編集を経て独立後、日本や海外の美容媒体をメインに、コレクション速報や取材現場で得た美容メソッドなどを中心に執筆中。レインボータウンFMのラジオ番組「Nathalie’s Beauty Talk」では第2木曜と第1土曜にフランスの最新情報などを紹介している。

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(c)marie claire style/selection, text, photo: Nathalie Lima Konishi

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