【6月28日 marie claire style】「いわさきちひろ」をご存じでしょうか? 子供向けの本を主な舞台として絵を描き活躍した女性です。黒柳徹子さんの名作『窓ぎわのトットちゃん』を通して彼女の作品を知っている人も多いことだろうと思います。

 東京と長野・安曇野にある「ちひろ美術館」では、彼女の生誕100年を記念して、7組の作家たちが彼女とコラボレーションする「Life展」が開催されています。

 幼いころ、私は彼女の絵本がなんだか苦手でした。彼女の描く子供たちの瞳には悲しさのようなものが漂っている気がしました。水彩で描かれたぼんやりとした作風や画面の余白の多さも、捉えどころがないようで子供心に怖さを覚えた記憶があります。

 今回の展示を通して彼女のことを知っていくと、戦いながら生き抜いた強くかっこいい女性だったということに驚きました。彼女の作風から、私はのんびりとした人だという印象を抱いていたからです。

 戦争体験。夫の自殺。その後、8つ歳下の男性と結婚し夫の活動を支えます。出産後、仕事のために子供を郷里に預けざるをえなく、泣く泣くしばらく離れ、その後もずっと子供を育てながら働き続けます。

 余白の多さや水彩の画風に世間から「あまい」と言われながらも、自身の道を信じ強い意志を持って描き続けました。遺作となったのは、ベトナム戦争への想いから戦争を描いた絵本。そして55歳という若さでこの世を去りました。

 展覧会には、写真、アート、詩、ファッション、建築などの様々なジャンルの作家が参加します。

 すべてのことに全力で、信念を貫き、考え続け、生き抜いた彼女の姿があるからこそ、多種多様な作家たちが彼女から学び、自身の創作を考えることができるのだろうと胸が熱く
なりました。

Life展
会期:~2019年1月31日(木)
会場:安曇野ちひろ美術館 / ちひろ美術館・東京
お問い合わせ先:安曇野ちひろ美術館 0261-62-0772
ちひろ美術館・東京 03-3995-0612
公式HP:100.chihiro.jp/exhibitions/life

■プロフィール
前田エマ(Emma Maeda)
1992年生まれ。東京造形大学卒業。オーストリアウィーン芸術アカデミーに留学経験を持ち、在学中より、モノづくりという観点から、雑誌のディレクション、ショーやイベント、ファッションブランドのモデルをつとめる。ほかにもエッセイ、写真、ペインティング、朗読、ナレーションなど、分野にとらわれない様々な活動が注目を集めている。Now Fashion Agency所属。

■関連情報
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(c)marie claire style/selection, text, photo: Emma Maeda