【5月31日 marie claire style】パリには私にとっていくつかとても愛しい場所があります。

 そのうちのひとつ、サン・ルイ島のケ・ド・ブルボン19番地は、ただ単に通行人が通り過ぎるだけの場所ではありません。この近辺には美術館もなく、老舗のブラッスリーもないのですが、偉大なアーティストの記憶だけは残っています。

 そこは女性彫刻家、カミーユ・クローデル(1864-1943)が1899年から1913年まで使用していたアトリエ兼自宅で、その後、彼女は30年もの間、精神科病院に収容され最期を遂げるのですが、収容直前まで実際に住んでいた場所なのです。

 映画『カミーユ・クローデル』(1988)はイザベル・アジャーニとジェラール・ドパルデューの情熱的な演技で話題となり、20世紀初頭の偉大な彫刻家の作品とその人生を忘却から呼び起こしてくれました。

 19歳で彫刻家オーギュスト・ロダンの弟子となり、次第に愛し合いますが、ロダンにはすでに内縁の妻がいたため三角関係になります。カミーユの若さと美貌と才能に惹かれたロダン。しかしカミーユがロダンの子を妊娠、中絶してしまうと、2人の関係は破綻へと向かい、ロダンは内縁の妻の元へ戻っていきます。その後カミーユは40代後半から統合失調症を発症して、最後まで治ることはありませんでした。

 カミーユの弟で劇作家ポール・クローデルが語ったように、カミーユはロダンにすべてを賭け、ロダンによってすべてを失ったのです。

 情熱的なカミーユは自身の作品の大部分を荒々しく破壊してしまったため、今日あまり作品が残ってはいません。

 しかし運命の皮肉と言うべきでしょうか、彼女の作品は「ロダン美術館」の中に展示されているのです。

 もしあなたが私と同じように、報われない人生を送った美しく高貴な女性カミーユに敬意を表するなら、ケ・ド・ブルボン19番地へ行ってみてください。もしかすると私を見かけるかもしれません!

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(c)marie claire style/photos: Pauline Darley