【1月25日 marie claire style】静かに落下していく砂粒をみていると、永遠の時に吸い込まれてしまいそうだ。光と影の原理で時を刻む日時計も、神秘に満ちたアート・オブジェにみえる。

 フランスが世界に誇る名門メゾン「エルメス」は、2年に一度、美を結集したデザインのハイジュエリー・コレクションを発表しているが、去年も10月末に銀座のブティックで、その新作発表が行われた。テーマは「時」ということで、永遠の時の連なりをデザインした豪華なパリュールが陳列されていた。アート空間のような展示では、眩惑的な半貴石が光を放ち、優美なデザインが織りなすハイジュエリーに、招待客たちは見とれていた。当日はパリから「エルメス」ジュエリー部門のクリエイティブ・ディレクター、ピエール・アルディも来日していたので、彼にクリエーションについてきいてみた。

─あなたにとって、創造とは?
「常に永続するもので、途切れることなく湧き出してくるもの。同じ姿勢で、ひとつの部屋に閉じこもって考えるのではなく、アクロバットのように、不意に宙返りをしてみると、なにか新しいものがみえてくるのです」

─「エルメス」のジュエリーやシューズをデザインするのは、あなたにとってどんなこと?
「老舗の『エルメス』には、すでに根源的なスタイルができていると思う。つまり絶対的なもの、高いレベルでのアブソリュートなものをデザインしたい。そのためには、素材を前面にみせることが大切です」

─最近のジュエリー・コレクションのスタイルとは?
「本質的なものと、軽さを混ぜ合わせて、モダンな要素も取り入れている。よくみてもらうと分かりますが、デザインは一段と繊細になっています」

─あなたは靴のデザインも手掛けていますが、ジュエリーのデザインと違うところは?
「靴はファッションアクセサリーなので、軽やかにみえるようにしています。でもハイジュエリーは、時を共にすごすパートナーのようなものなので、美しいというだけではなく、そこに力強さを加味しているのです」

 ソフィスティケートな美意識と、オーセンティックな「エルメス」のコンセプトを見事に混ぜ合わせたクリエーションに力を注ぐアルディは、これからもまだ汲めども尽きない創造の井戸から、その研ぎ澄まされた感性で、「一生もの」のジュエリーを生み出していくのだろう。

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(c)marie claire style/text: Kasumiko Murakami/photo: Alexis Armanet