【9月28日 marie claire style】柔和な雰囲気の女性なので、怒った表情を想像するのが難しいニコール・ガルシアは、男性が欲望の対象としてみるのではなく、こころの拠り所にしたいタイプのアクトレスだろう。

 アルジェリアで生まれ、16歳の時にフランスにやってきて、パリで女優になった彼女は、1981年、クロード・ルルーシュ監督の『愛と哀しみのボレロ』で一躍国際的に注目されるようになった。繊細な女性の役柄を演じていた彼女が、40歳を機に監督デビューを果たしたと知って、むしろ意外な気がした人も多かったのではないか。

 今年6月に東京で開催した「フランス映画祭2017」に出品されたニコール・ガルシアの監督作品『愛を綴る女』は、今もっとも旬な国際派女優といえるマリオン・コティヤールが主役の、愛を夢想する女の欲望に光を当てたテーマで、今回の映画祭において出色の作品だった。監督の来日も予定されていたが、残念ながら中止となり、急遽、国際電話でのインタビューとなった。

『愛を綴る女』の主人公、文学少女で南仏の小さな村に住むガブリエルは、腕のいい職人と結婚したものの、夫を愛することはできない。そんな彼女が結石を患い、治療のためサナトリウムにいくことになった。現実から遠く離れた療養所で、人妻ガブリエルは軍服姿の男に情熱的な恋をする。

「フラストレーションが溜まりすぎると、人は夢想するものだと思うの」 

 電話の向こうのニコール・ガルシアは、低い声で、いきなりテーマの中枢に斬り込んできた。

「これまでは男性の欲情だけで、女性側の思いにはあまり触れられていなかったと思う。男性はすぐに欲望を現実のものにしたがるけど、女性はそうではない。そうした違いを、掘り下げてみたかった。女性の視点からみたかったの」

──主役のマリオン・コティヤールはどうでしたか。

「パッションを持った女性の役といったら、マリオン以外に考えられない。あらゆる場面で炎を内に秘めた女性を、素晴らしい演技でみせてくれた」

──『ヴァンドーム広場』でも、あなたは一貫して愛のテーマを追求していましたね。これからもそうですか。

「ええ、そうよ。実はね、今度は日本で撮ってみたいと思っているの。もちろん愛のテーマで」

 マルグリット・デュラス原作の『ヒロシマ・モナムール』のように、ぜひ、日本を舞台に、爛熟した大人の男女の恋愛模様を描いてほしいものだ。───

■映画情報
『愛を綴る女』
10月7日(土)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

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(c)marie claire style/photo: Takeshi Miyamoto/text: Kasumiko Murakami