【5月25日 marie claire style】新しい才能が開花する街ロンドンはこれからもその地位を守れるのだろうか。昨年、EU離脱を国民投票で決めたイギリス。投票から半年以上たった現在、この決定がロンドンにどのような影響を与えているのか興味津々だったが、好調な経済のせいか、ロンドンの街も、街行く人たちも何も変わっていないように見えた。

 ロンドン ファッションウィークは期間が4日間と、その規模も他の都市と比較するとさほど大きくない。それでも、これまでジョン・ガリアーノ(John Galliano)やアレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)らが頭角を現し、時代の先端を切り開いてきたのはロンドンのファッション界だった。さて、今回は?

 3日目の朝は「マーガレット・ハウエル(Margaret Howell)」のメンズとレディースの合同コレクション。もともとメンズにも定評のあるブランドだが、今回のスタイリングもなかなかのもの。バルカラーのコートやダブルブレストのコートは落ち着いたトーンで大人っぽさを漂わせ、反対にコート下は、シャツの裾をボトムから出したりして若々しく抜け感のあるコーディネート。

 毎回凝った装置と演出で我々を驚かせてくれる「アニヤ・ハインドマーチ(ANYA HINDMARCH)」。会場は前回と同じ場所だったが、高低差のある雪山のような舞台を設置。最上階から現れたモデルは、坂道をジグザグに下っていく。キャップや襟まわりにフェイクファーをふんだんに使い、色みも明るくポップ。ホットパンツやミニのコートなど、軽快で遊び心のあるアイテムの数々は大きな拍手を送られた。

 2シーズン目の「See Now, Buy Now」を迎えた「バーバリー(BURBERRY)」。今回テーマに選んだのはデザイナーのクリストファー・ベイリー(Christopher Bailey)と郷里が近く、彼がとても影響を受けたという彫刻家ヘンリー・ムーア(Henry Moore)。会場にはヘンリー・ムーアのデッサンや彫刻、展覧会のポスターが飾られ、美術館のよう。コレクションもヘンリー・ムーアの影響からだろうか、曲線的で、スウェットにレースなどの相反する要素を組み合わせ、とてもコンセプチュアル。異素材の組み合わせやディテールにいたるまで、これまでの「バーバリー」とは違う、クリストファー・ベイリーの新たな挑戦が感じられた。

「マルベリー(MULBERRY)」はイギリスの伝統的な柄、タッターソールチェックや壁紙に使われるような柄のリラックス感のあるスーツやコートを展開。それに大きなレザーのトートバッグやショルダーバッグを合わせ、インパクトのあるコレクションだった。

 伝統的といえば、「ダックス(DAKS)」は「サヴィル・ロー・ウーマン」がテーマ。イギリスらしいメンズライクな素材を使い、フェミニンなプリントやディテールで女性らしさをだした。「ジョゼフ(JOSEPH)」はオーバーサイズ、アシンメトリーといった前シーズンから続くキーワードを踏襲し、それらを上手に表現していた。

 ドナテッラ・ヴェルサーチ(Donatella Versace)の「ヴェルサス ヴェルサーチ(VERSUS VERSACE)」はスポーツやバイカースタイルをさらにエッジィに見せ、その存在感を強くアピール。

 ロンドンでコレクションを発表しだしてから認知度も高まっている古田泰子(Yasuko Furuta)の「トーガ(TOGA)」。今回はサイドのスリットや背中を大きくカットしたパンツスーツなどで肌を見せ、さらにビジューの刺繡が施された下着やカラータイツも見せるというもの。またトレンチコートもベルトの巻き方でとても艶っぽい雰囲気をだしていた。

 ロンドン ファッションウィークに取材に来る編集者やジャーナリストは、ミラノ、パリと較べると圧倒的に少ない。「ポール・スミス(Paul Smith)」がメンズとレディースの発表の場をパリに移すなど、参加ブランドも減少した。そして現実的なEU離脱に向けて大きな社会的、経済的変化が予想される。そんななかで、ロンドン コレクションはロンドンらしさを維持できるのか。今回のコレクションを見る限り、その底力は、健在と感じたのだが、来季は? どうなるだろう。(文・田居克人 Katsuto Tai『 marie claire style』編集長)

※Antonio Berardi は日本展開なし。

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(c)marie claire style/photos: Imaxtree