【5月25日 marie claire style】注目素材はベルベット、スタイルはよりフェミニンに。今回のミラノで注目されたのは、ヨーロッパでも大きな動きとなっている排外主義に対する、デザイナーたちの強いメッセージだ。もちろんニューヨークやロンドンでもそのメッセージ性はあったが、ヨーロッパで最も強く、はっきりとした形で表れたのはミラノだった。

 特に「ミッソーニ(MISSONI)」のコレクションでは、客席にピンクのニットキャップ(アメリカのワシントンなどで行われた、女性の権利向上を訴えるウィメンズマーチを象徴したもの)が用意され、ショーの終了後、デザイナーのアンジェラ・ミッソーニ(Angela Missoni)がマイクを持ち、人権の尊重を訴えた。また「ヴェルサーチ(VERSACE)」のショーでは、登場するモデルたちの服に「LOVE」「EQUALITY」「COURAGE」「UNITY」の文字が書かれ、最後に登場したデザイナーのドナテッラ・ヴェルサーチ(Donatella Versace)は「EQUALITY」と書かれた袖を前に押し出し、強い抗議の姿勢を見せた。

「プラダ(PRADA)」も同様に、ショー会場には現代女性の果たしている役割を訴えるポスターが貼られていて、ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)からの静かなメッセージが感じられた。

 ミラノ ファッションウィーク初日に開催された「グッチ(GUCCI)」のコレクションは、はじめてのメンズとレディース合同ショーだったが、ショーのために設営されたガラス張り回廊で発表されたのは119体というルックの多さ。「錬金術師の園」と題されたコレクションは、ジェンダーレス、オリエンタル、中世風など何でもありで、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)のファンタジーのような世界はさらに磨きがかかっていた。

 いい意味で驚かされたのは「マックスマーラ(Max Mara)」。ファースト・ルックから4体目までは、コートも中に着たニット、パンツ、靴も真っ赤なワントーン。赤やキャメルなどのワントーンの組み合わせは「フェンディ(FENDI)」などでも見られ、とても新鮮な印象を与えた。

 メンズとレディースの合同ショーの後で記者会見を開いた「ボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)」のトーマス・マイヤー(Tomas Maier)は、「肩からデザインを描き始めた」というショルダーにポイントをおいたデザインで、乗馬パンツのようなボトムやウエストを絞ったドレスなどシルエットが特徴的。

 ここ数シーズン続いているイギリス的な要素とミリタリーテイストも健在。グレンチェックのようなイギリスの伝統素材を使ったジャケットは「フェンディ」や「トラサルディ(TRUSSARDI)」でも見られ、「エルマンノ シェルヴィーノ(Ermanno Scervino)」はテーマが「愛の戦士」で、ミリタリー調のパーカやコートがフェミニンなレースのドレスとコーディネートされ、ラグジュアリーな雰囲気を醸し出していた。「ブルネロ クチネリ(Brunello Cucinelli)」もミリタリーの要素に刺繡などの女性的な要素を組み合わせていた。

 イギリス的な素材以外で目立ったのはベルベット。「ジョルジオアルマーニ(GIORGIO ARMANI)」「ブルーガール(Blugirl)」「サルヴァトーレ フェラガモ(Salvatore Ferragamo)」「グッチ」「アンテプリマ(ANTEPRIMA)」といったショーで様々な色のベルベットが、その艶感や柔らかさをいかしてジャケットやワイドなパンツに使われていた。

 ファッションウィーク期間中、毎晩のようにミラノではパーティーが開かれる。これはパリやロンドンよりもテロなどが起きる可能性が低いからということなのだろう。以前と比較すると格段にミラノは元気を取り戻していると感じた。(文・田居克人 Katsuto Tai『 marie claire style』編集長)

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(c)marie claire style/photos: Imaxtree