【1月19日MODE PRESS】高級パティスリーブランド「ピエール・エルメ・パリ(PIERRE HERMÉ PARIS)」の旗艦店「ピエール・エルメ・パリ 青山」が昨年12月リニューアルオープンした。来日したピエール・エルメ(Pierre Hermé)本人に話を聞いた。

■手が届くラグジュアリーを

 14歳で本格的な修行をはじめ、35歳で自身の名を冠した「ピエール・エルメ・パリ」を設立したのは約20年前。目指したのは“パティスリー界のラグジュアリーブランド”だった。毎回ファッションブランドのように発表される“オートクチュール”ならぬ “オートパティスリー”作品の数々はその芸術性も高く評価され、今やヨーロッパをはじめアジア、中東など世界12か国に店を構えている。

 リニューアルした新店舗には、焼き立てベーカリーや本人がセレクトしたワインなど、これまでにない種類の商品が並び、イートインスペースも併設。「ヘブン(Heaven)」と名付けられた2階では、抹茶など日本の素材を使用したデザートも提供している。

 店に入ると、華やかなスイーツたちが目に入ってくるが、もちろんマカロンを忘れてはいけない。日本に進出した当時、「バニラ、チョコレート、コーヒー、フランボワーズくらいしかなかった」マカロンに創作の余地を見出し、以来さまざまな種類の味を開発し続けた。結果、その後の世のマカロンブームとも相まって、今やマカロン好きの人で「ピエール・エルメ」の名を知らぬ人はいないほど、ブランドの代名詞となった。

ピエール・エルメ・パリ 青山店内の様子(2016年12月16日撮影)。(c)MODE PRESS/Yoko Akiyoshi

■味覚のクリエーション

 見た目が注目されがちなスイーツだが、クリエーションの真骨頂は“味覚”の創造である。エルメは「頭の中に蓄積されている味覚の記憶」を自在に組み合わせ、イマジネーションによって一つの味を創り出すのだという。オリーブオイルとバニラ、イチジクとフォアグラ、といった自由な発想で考え出されたオリジナリティ溢れるフレーバーたちは、彼が世界各国で“パティスリー界のピカソ”と称されるゆえんである。

 インスピレーション源は、素材そのものはもちろん、読書や会話などさまざま。最近は、パリの「プランタン百貨店(Magasins du Printemps)」の看板に飾られた煌く星々から、クリスマスコレクションの着想を得たという。