【3月4日 MODE PRESS】DCブランドブームの火付け役として時代を一世風靡した「BIGI」、「MEN'S BIGI」の創立メンバーであり、日本におけるメンズウェアの第一人者でもあるファッションデザイナーの菊池武夫(Takeo Kikuchi)氏。

 1984年にワールドに移籍後、メンズブランド「タケオキクチ(TAKEO KIKUCHI)」を創立。2004年に一旦クリエイティブディレクターの座を後任に引き継いだが、2012年に再就任。現在に至るまでブランドの指揮を執っている。また昨年、ブランド30周年を迎え、ますますエネルギッシュに活躍する菊池氏に、話を聞いた。


■インタビュー:菊池武夫(ファッションデザイナー)

―昨年ブランド30周年を迎えましたが振り返ってみて感想は?

 30年と考えると長いですが、僕にとっては通過点というか、実際には仕事を始めてから53年が経つので、その一部になるわけです。1984年にワールド移籍し、ブランドを立ち上げた事がつい最近の様な気もします。でも、30周年を境に今後新しい30年があっても良いのではとの気持ちになりました。この先僕がいなくとも、ブランドのアイデンテイテイーがより確立された形で、今以上の勢いがつけば素晴らしい事だと思います。

―日本の男性のファッションの変化についてはご意見をお伺いできますか?

 1970年に最初の会社ビギを立ち上げてから40数年経ちますが、その間、物凄い変化が有りました。自分は常に、その時代より先に求められる何かを提案できれば良いと考えてきました。今現在も自分自身が魅力を感じる新しさを作っていきたいと思っています。昔と比べて、今は東京に居ながらインタナショナルな活動が出来る環境が整ってきているので、とてもやりやすくなったと強く感じます。

 「タケオキクチ」ブランドについては、クリエーションに対し、もう少し敏感で有ることが必要だったと思うので、もう一度、その面を一新したいと思います。それでも今は少しずつですが、前に進みだしている感じはありますね、30周年を機会に今後の課題のスタート地点に成れば良いと思います。

―東京五輪が開催される2020年に向けて日本の男性のファッションやスタイルはどうあるべきだとお考えですか?

 難しい質問ですね、5年先の話ですし…。ただ、日本人の感性が外国の方々と異なり、気の付く範囲が繊細な気がします。日本人の体型、顔かたち等の要素が外国の方と比べてしまうと、必ずしも洋服を美しく着る条件としては、残念ながら・・・しかし、その欠点を感性で逆転してしまう能力が日本人の優れているところだと感じているのは私だけではないのでは。日本の人は世界でもおしゃれな人口が大変多いと思います。又、そのお洒落の方向性が多様化しているのも日本人特有の個性だと思います。逆に言えばその多様化が我々仕事をしている側から見れば大変ですが、その事実により細かく対応していけば5年後はもっと日本人のスタイルが発信できることになると思います。

 日本人のスタイルの進化は1970年代頃から徐々に年を追うごとに変化してきたと思います。このゆっくりとした歩みの中に蓄積された細かい経験が、実はものすごく大切だったのだと思うのです。その時間をかけて日本らしさを出してきた強みが、今、日本人の感性が世界の中で形として存在感を伝えている気がします。その点に対して自覚さえあればファッションに関しては焦る必要はないのかなと。

―最後に、今後の予定を教えてください

 今月16日から開幕するメルセデス・ベンツ ファッションウィーク東京のなかで、13年ぶりにファッションショーをやります。今、色々準備中なのですが、僕自身もテンションが多いに上がっているので楽しみにしています。ほかにもいくつかの面白いコラボの予定も有り、どんな形であれ皆様に是非注目していただきたいと願っております。
(c)MODE PRESS