【2月11日 CNS】爆発的な広がりを見せる新型コロナウイルスによる肺炎を受け、マスクの需要は激増している。中国では、春節(旧正月、Lunar New Year)休暇に重なったため、国内のマスク製造企業の大部分は生産を停止、供給不足に拍車をかけた。中国の多くのネット通販企業は海外からの調達を試みたが、ある国際貿易業者は「単に価格があがるという簡単な話ではなく、韓国などの業者は在庫があるのにそれを隠し、便乗値上げをした」と話す。

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 この業者によると、昨年末の韓国製マスクは1枚約3元(約50円)だったが、この数日で1枚20~25元(約310~390円)へ跳ね上がった。「工場によってはもっとひどいところもある。1枚48元(約750円)だ。今や『1日ごとに値段が変わる』ではなく、1時間ごとに値段が動いている」という。「需給バランスが崩れたことが原因の価格上昇なら理解できるが、今の問題は、一部の業者がぬれ手であわで何もせずに価格をつり上げるからやっかいだ」

 しかも「韓国の一部の業者は、顧客を工場に入らせなくなった。ほんの少し前までは、みな工場の中に入って商品を引き取っていたが、今は入れなくなり、どれだけ在庫があるか分からない。どれほど欲しいか聞き、こちらの顔色を見ながら幾らだったら出せるかを予想し、値段を言う。もしOKと言えば、別の顧客にもっと高い価格を出せるか聞く」という。

 海外品買い付けプラットフォーム「洋碼頭(Yangmatou)」も似たような状況だ。同社の蔡華(Cai Hua)最高マーケティング責任者(CMO)によると、韓国でのマスク買い付けは現金商売となっており、現金を渡して現物をもらうという形だ。それでも時として買えない状況があるという。

 これまで中国の買い付け業者の多くは、距離が近く輸送時間が短いことなどから韓国から買っていた。しかし、蔡CMOは「韓国の一部の工場が価格をつり上げ、在庫を隠すなどの行為が頻発すると、韓国製マスクを購入する気持ちが冷めてしまった。韓国製マスクは他と代え難いというものではないので、米国や日本、欧州などからマスクを買い付けた。これから相次いで運ばれてくるので、韓国はわれわれの唯一の調達先ではない」と述べている。

 春節が明け、国内のマスク工場は迅速に生産を回復しつつある。統計によると、3日の時点で、全国22省の1日当たりの生産量は1480万6000枚に達し、稼働率は67%まで上がってきた。

 蔡CMOは「国内の生産の回復と、世界各地から規格品の到着により、中国の『マスク品切れ』問題は必ず緩和されるだろう」と話した。(c)CNS/JCM/AFPBB News