米旅客機事故、女性機長に称賛の声 エンジン大破も冷静に対応

04月19日 07:16


破損したサウスウエスト航空機のエンジンを調べる米運輸安全委員会(NTSB)の調査官ら。NTSBが公開(2018年4月18日提供)。(c)AFP PHOTO / NATIONAL TRANSPORTATION SAFETY BOARD/HANDOUT


【4月19日 AFP】米サウスウエスト航空(Southwest Airlines)旅客機のエンジンが飛行中に爆発し、1人が死亡した事故で、落ち着きを失わずに同機を緊急着陸させた女性機長が、英雄として称賛を集めている。

 事故では17日、乗員乗客149人を乗せニューヨークからダラス(Dallas)へ向かっていたサウスウエスト航空1380便の左エンジンが、突然の爆発によって大破。その破片によって窓が割れ、乗客の女性の体の一部が機外に吸い出された。

 乗客らの話によると、同機の機長を務めていたのは元米海軍所属のタミー・ジョー・シュルツ(Tammie Jo Shults)氏。軍事航空関係のウェブサイトによれば、同氏は海軍で初めてF18戦闘機のパイロットとなった女性の一人だった。

 公開された交信記録でシュルツ氏は、冷静沈着に救急隊の出動を要請し、管制官に対し同機の一部が損失したことを伝えながら、緊急着陸に向けた操縦を続けていた。

 乗客のダイアナ・マクブライド・セルフ(Diana McBride Self)さんは、客室の通路で乗客を送り出すシュルツ氏の写真をフェイスブック(Facebook)に投稿し、「本物のアメリカン・ヒーローだ」と称賛。「恐ろしい状況での彼女の知識、指示、そして勇気にとても感謝している」と書き込んだ。

 乗客のアマンダ・ボーマン(Amanda Bourman)さんは滑走路上に駐機する同機の破損したエンジンの写真をインスタグラム(Instagram)に投稿し、「機長のタミー・ジョーさんは素晴らしかった! 私たちをフィラデルフィアに安全に着陸させた。神様は私たちを見守る天使たちを送ってくださった」と述べた。

 ソーシャルメディア上ではシュルツ氏の見事な対応を、「ハドソン川の奇跡」で知られるの伝説的パイロット、チェズレイ・サレンバーガー(Chesley Sullenberger)氏の行動と比較する声も上がった。同氏は2009年1月、バードストライク(鳥の機体への衝突)で飛行が不可能になったUSエアウェイズ(US Airways)機をニューヨークのハドソン川(Hudson River)に不時着水させ、英雄と称賛された。

 乗客らによると、今回の事故では乗客の女性が割れた窓に吸い込まれ、旅客機が急降下する中、他の乗客によって引き戻された。

 乗客のペギー・フィリップス(Peggy Phillips)さんはABCニュース(ABC News)に対し、「窓が壊れ、吸引と負圧によって女性が部分的に機外に吸い出された。素晴らしい男性2人が彼女をなんとか機内に引き戻した。私たちは彼女を寝かせ、CPR(心肺蘇生法)を始めた」と説明した。

 後に死亡したこの女性の身元は、ニューメキシコ州アルバカーキ(Albuquerque)在住のジェニファー・リオーダン(Jennifer Riordan)さん(43)と判明。リオーダンさんは大手銀ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)の幹部で、2児の母だった。事故ではさらに7人が軽傷を負っている。(c)AFP/Jennie MATTHEW