アライ 朝から中古車物件見てるの? 好きだねぇ。"フェラーリ・アプルーブド"? へぇ、これ、フェラーリの認定中古車サイトなんだ。
ウエダ これも仕事のうちですよ。ワタナベ隊長から定期的なウェブサイト巡回こそ、極上中古車への近道と聞いてますし。それに実は昔から4シーターの308GT4が大の好物でして。10年ほど前にモンディアルはご縁があって買う寸前まで行ったんですが……フェラーリ・オーナーになるのはクルマ好きなら誰もが1度は考える夢ですからねぇ。
アライ おいおい、さすがにその辺りはもうフェラーリ・クラシケの範囲で、認定中古車じゃないよ。
ウエダ フェラーリ・アプルーブドは新車から14年以内が対象ですね。
アライ それなら前も探したけど、カリフォルニアって今どう? サイズは手頃で荷物も載るしオープンにもなる。フロント・エンジンだけど、あれも2プラス2だよ。
ウエダ それになんと言ってもフェラーリ謹製の4.3lV8は、今は亡き自然吸気のエンジンですしね。
アライ カリフォルニアは2008年登場だから全車対象でしょ?
ウエダ あれ? でもほとんど値下がりしてませんよ。たしか3年前は7年落ちで1800万円くらいだったのに、10年経っても程度のいいクルマは値段がほぼ変わってない。
アライ 同じV8のミドシップ・モデルに比べたら最初の数年こそ値下がりしても、やっぱり手固いね。そうなると狙い目は同じカリフォルニアでも3.9lV8ツイン・ターボの"T"かな。2014年登場だからそろそろ2回目の車検の時期だし。
ウエダ おぉ、20台もありますよ!
アライ この外装が白で内装が青の売り物、シックでセンスがいいね。
ウエダ 懐かしい。モンディアルもこんな内装でした……あ! ただの白じゃない。新車だと、オプションで240万円もするパール・ホワイトだ。しかもなんか見覚えがあると思ったら、帰り道にいつも見てたクルマ!
アライ あぁ、飯倉の交差点のところにあるフェラーリの正規ディーラーだね。え? まだ昼前なのに荷物まとめてどこに行くんだよ!?
ウエダ と、いうわけで到着しましたよ、ロッソ・スクーデリアに。
アライ こういう時だけはフットワークがいいんだから……あれ、さっきまでけっこう緊張してたのに、ずいぶんリラックスしてない?
ウエダ フェラーリのディーラーなので身構えてたんですが中古車マネージャーの吉村謙一さんもスタッフの皆さんも、きさくで優しくて。
アライ (笑)。1階は新車ショールームで2階が応接スペースか。首都高・中央環状線の内回りから見える3階が認定中古車の展示場だね。
ウエダ 僕の目の付け所が確かなのも証明されました。お目当てのカリフォルニアT、フェラーリお約束の装備が全部乗せ。フェンダーのエンブレム、シートの跳ね馬の刺繍、LEDインジケーター付きのステアリング。このあたりは付いていて当然で、ないと値下がりしちゃいます。
アライ 見つけたのは僕だし、それって吉村さんの受け売りでしょ。でも、確かに足を運ばないと分からないこともあるね。70周年記念のテイラー・メイド・コレクションも展示されてたけど、ブラウンのファブリック・シートってはじめて見た。これも上品で肌触りも最高だね。
ウエダ 吉村さんによればかつてのフェラーリは基本2台持ち前提のクルマだったけど、クーペ・カブリオレで色々なニーズに応えられるカリフォルニアが出て、1台持ちの人も増えたとか。フェラーリとしては走行距離が多めの個体も多いそうです。
アライ そう聞くとカリフォルニアはそろそろトラブルが心配だね。カリフォルニアTはそこまで距離は伸びていないみたいだけど……。
ウエダ ところがトラブルらしいトラブルはほとんどないんですって。万一何かあっても7年間無料メンテナンスに加え、12カ月の走行距離無制限保証とロードサービス付きの認定中古車だから心配ご無用ですけど。
アライ あとカリフォルニアはナビが古いのが悩ましいよ。純正以外に代えると保証が適用されないそうだし。クラシケほどじゃないけどサービス履歴がちゃんと管理されている。
ウエダ 中古車のナビは交換しがちだから要注意ですね。カリフォルニアTならアップルのCarPlayにも対応したから、そこも抜かりがない。カリフォルニアの登場でフェラーリは新規顧客の獲得に成功した。で、そうしたユーザーの声に応えたのか、カリフォルニアTはすごく乗り心地や静粛性が向上したのは事実ですよね。
アライ 確かに洗練されたよね。
ウエダ パワフルかつ扱いやすいV8ターボもクーペ・カブリオレというクルマの性格的にぴったりだし。
アライ お、昔気質で自然吸気派のウエダもついに宗旨替えかい?
ウエダ 値落ちせず、日々気軽に使えるフェラーリ。カリフォルニアTは、かなり通好みな選択ですよ。
▶「フェラーリのおすすめ記事」をもっと見る話す人=新井一樹+上田純一郎(ともにENGINE編集部) 写真=阿部昌也
(ENGINE2019年10月号)
※紹介した中古車の価格、在庫については、取材時のものです。
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