【2月2日 AFP】カナダのオジブワ(Ojibwe)語、メキシコのアヤパネコ(Ayapanec)語――国連(UN)は、いずれの言語も何らかの措置を取らなければ消滅する恐れがあるとし、世界中の約7600言語のうち危機的状況にある言語は2680言語に及ぶと警鐘を鳴らした。国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の担当者によれば、先住民の言語は「2週間に1つの割合で消滅している」という。

 国連は、今週開始した1年間に及ぶ「国際先住民族言語年(International Year of Indigenous Languages)」プロジェクトにおいて、文化的な損失への関心を高め、古くから伝わる言語の保護につなげたいとしている。

 マリア・フェルナンダ・エスピノサ(Maria Fernanda Espinosa)国連総会議長は1日、国連の会合で「2019年は、先住民言語とその話者を救うという私たちの決定においてターニングポイントになるに違いない」と述べた。

 ロシア北部コラ(Kola)半島で2003年、アッカラ・サーミ(Akkala Saami)語の最後の話者が亡くなり、2008年には米アラスカ州でイヤック(Eyak)語が最後の話者の死去に伴い、消滅した。

 今週、仏パリで行われた式典には、カナダのケベック(Quebec)・オンタリオ(Ontario)両州で暮らす先住民族アルゴンキン(Algonquin)の言語を話す8歳の少年が出席し、母語でスピーチ。AFPに対し、「この言葉を話すのは大事なことです。僕たちの言葉は死に絶えようとしているからです。僕らの言葉が死なないように、もっと多くの人たちにこの言葉を話してほしい」と話した。

 約630の先住民族(人口約140万人)が住んでいるカナダは、複数の言語を消滅から救うために助成金を提供することを約束している。

 オーストラリアの場合は、英国人が1788年に入植を始めた際、250を超えるアボリジニの言語が存在したが、今も話されている言語は約120にまで減っており、オーストラリア北部特別地域(Northern Territory、準州)の一部の学校では、英語とアボリジニの言語による授業を行い、言語の存続に努めている。(c)AFP