■心配すべきか?

 過去2億9000万年くらいの間に、小惑星衝突のペースがどのように変化したかを明らかにするには、さらに研究を重ねる必要がある。

 では、人間は心配するべきなのだろうか。

 ガーノン氏は「その必要はまったくない」として、小惑星衝突は偶発的な事象だと述べた。

 さらに、米航空宇宙局(NASA)は、直径が30~50メートル以上の「地球近傍天体(NEO)」として知られる潜在的に危険な天体を継続的に追跡観測していると、ガーノン氏は説明した。

 科学者らは長年、小惑星衝突に興味を引かれてきたが、地球に衝突する割合を調べる試みは限定的な成果しか得られていなかった。その理由は、地球上の浸食作用によって一部の衝突痕(クレーター)が消失してしまうからだ。

 だが、月は地球とほぼ同じ頻度で小惑星が衝突しており、「同様の爆撃(激しい天体衝突)の歴史」を共有していると、論文の共同執筆者で、米サウスウェスト研究所(Southwest Research Institute)の小惑星専門家のウィリアム・ボットク(William Bottke)氏は指摘した。

 研究チームは今回、NASAの無人月探査機「ルナー・リコナイサンス・オービター(LRO)」の観測データを用いて、月面のさまざまなクレーターの形成年代を推定し、地球への小惑星衝突に関して明らかになっていることとの比較分析を行った。

「月はまるでタイムカプセルのようなもので、地球を理解する助けになる」と、ボットク氏は話した。(c)AFP/Kerry SHERIDAN