【12月20日 AFP】米上院は19日、人種差別に基づくリンチ殺人を犯罪として連邦法で禁じる法案を、史上初めて可決した。これまで約100年間にわたって法制化が試みられてきたが、上院では一度も可決に至っていなかった。

 今年に入ってアフリカ系米国人の上院議員3人(民主党2人、共和党1人)が提出した法案は、発声投票により全会一致で可決された。

 コリー・ブッカー(Cory Booker)上院議員は、「上院にとって非常に意味深い瞬間」だったとコメント。「米国史における過ちを認め、残虐に殺された被害者らを追悼し、上院が1世紀にわたり200回も試みた末に正しいことを成し遂げた歴史的な日を後世の人々に残す」機会だと語った。

 可決された「Justice for Victims of Lynching Act of 2018(2018年リンチ被害者のための司法手続法)」は、リンチ(私刑)による殺人を南北戦争(American Civil War)後に起きた「人種差別の究極的な表現」だと非難。1882~1968年に米国では少なくとも4742人がリンチで殺され、そのほとんどは黒人だったと指摘している。

 こうしたリンチ殺人では、加害者の95%が国家や地元当局の処罰を免れていた。

 下院では1920~40年に3回、リンチ殺人を犯罪とする法案が可決されていたが、上院では歴代7人の大統領による働き掛けにもかかわらず可決に至らず、2005年に上院はこれまでの対応を謝罪する声明を出している。今回の法案は下院に送られるが、年内に審議入りするかは不明。(c)AFP