【10月24日 AFP】イスラム教徒が多数派を占めるマレーシアで23日、野党指導者が隣国インドネシアを先月襲った地震と津波について、同性愛者たちの活動に対する「(アラビア語で神を意味する)アラーからの罰」であると発言し、非難が殺到している。

 問題となっている発言は最大野党である統一マレー国民組織(UMNO)の党首、アハマド・ザヒド・ハミディ(Ahmad Zahid Hamidi)氏によるもの。

 ザヒド氏は議会演説で、マレーシアにおいて同性愛者のコミュニティーが存在感を強めていると指摘。マレーシアではここ最近、首相を含む政府高官らが同性愛者の権利を否定する発言をしたほか、同性同士の性行為を禁じるイスラム法によりレズビアン2人がむち打ち刑を受けた。

 同国の前副首相でもあるザヒド氏はインドネシアのスラウェシ(Sulawesi)島で発生した地震と津波に言及した際、同島沿岸のパル(Palu)にLGBT(性的少数者)の活動に1000人以上が関わっていたと発言。

 ザヒド氏は「その結果、地域全体が壊滅した。これはアラーからの罰だ」と述べた。

 スラウェシ島では9月28日にマグニチュード(M)7.5の地震とそれに伴う津波が発生し、数千人が死亡。2000人以上の遺体が収容された一方、5000人以上の行方不明者はがれきとなった町の下に埋まっているものとみられている。

 ザヒド氏の発言は非難を巻き起こし、保身のために大衆迎合主義的な発言をしたとしてザヒド氏自身にも批判が殺到している。

 著名なLGBT活動家、パン・キー・テイク(Pang Khee Teik)さんはAFPの取材に対し、ザヒド氏の発言は「政治家が問題を抱えるたびにLGBTの人々が責められるという格好の証拠だ」と批判した。(c)AFP