【10月12日 AFP】初めて妊娠した女性は、母体と新生児へのリスクを最小限に抑えるために、分娩(ぶんべん)の早い時期に、子宮口が完全に開いたらすぐに息むべきだとする、米国の妊婦2000人以上を対象とした研究結果がこのほど発表された。

 自然出産を促すために、すぐに息むか、1時間ほど待ってから息むかという、米国の分娩室で最も一般的に用いられている二つの方法をめぐっては、複数の過去研究で意見が分かれていた。自然出産を促すことで帝王切開や鉗子分娩などの必要性が低減すると一部の医師らは考えている。

 今回の研究では、母体と新生児にとってどちらの方法が最も安全かを判断するために、2014年5月~2017年12月の期間に米国の病院6か所の協力を得て調査が実施された。

 病院では、子宮口が全開したらすぐに息むよう半数の女性に勧め、残る半数の女性に対しては1時間待つよう勧めた。調査対象となった女性は2400人で、それぞれのグループに無作為に振り分けられた。全ての女性には、硬膜外麻酔または鎮痛剤が投与されていた。

 9日の米国医師会雑誌(JAMA)に掲載された研究論文では、すぐに息むことで、母親の重度の会陰裂傷リスクは高まるとしても、感染症や大出血などの合併症リスクは低減されると記された。

 また、子宮口が全開した直後に息んだグループに関しては、帝王切開の増加につながらなかったこと、さらには分娩第2期が30分短かったことも確認された。

 一方、新生児に関しては、女性が息むまでの待機時間が長いほど感染症のリスクが増大した。

 これらの調査結果から、今回の研究では、すぐに息むことを推奨する方に傾く結論が導き出された。

 論文の筆頭執筆者で、米ワシントン大学(Washington University)の産科医アリソン・ケーヒル(Alison Cahill)氏は、米公共ラジオ局NPRの取材に「初めて母親になる女性は、母体と新生児にとって最善の結果を得るために、子宮口が全開したらすぐに息み始めるべきだということを、今回の研究結果は示唆している」と語った。

 しかし、この結果は通常妊娠で妊娠37週以上後に初めての出産をする女性のみに関するものであるため、妊娠した女性全員に一般化できるわけではない。だが米国の分娩室での慣行を変える助けにはなるかもしれない。(c)AFP