■研究凍結の訴え

 一方、一部の科学者と技術監視団体は、遺伝子ドライブ研究の凍結を求めている。

 最新の技術は、規制の枠組みが追いつかないほどの急成長を示すことが多い。こうした技術を監視する非営利団体「ETCグループ(ETC Group)」のジム・トムソン(Jim Thomson)氏は、「遺伝子ドライブを用いて生物種と自然個体群を意のままに全滅させる能力に対しては称賛を送るべきではなく、むしろ警鐘を鳴らすべきだ」と述べた。

「自然個体群を操作・除去することは、食物網の破壊や疾病の作用変化などの生態学的リスクが伴うとともに、農業の混乱や新たな武器の開発といった社会的リスクももたらす」

 英科学誌「ネイチャー・バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)」で発表された今回の最新研究は、米慈善財団「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)」から資金提供を受けた。同財団は、主に研究コンソーシアム「ターゲットマラリア(Target Malaria)」を通じて、病気根絶を目的とする遺伝子ドライブ技術の開発に1億ドル(約112億円)近くを投じている。

 他方で、米国防総省の研究機関である米国防高等研究計画局(DARPA)も、数千万ドル(数十億円)を出資している。(c)AFP/Marlowe HOOD