【8月25日 AFP】ブラジル当局は24日、「女性だから」という理由で狙った殺人事件、通称「フェミサイド(女性殺し)」の撲滅に重点に置いた全国的な一斉検挙を実施した。同国政府が発表した。

 一斉検挙は、国内で急増しているフェミサイドを含め、増加し続ける暴力犯罪の対策の一環で政府が実施。ラウル・ジュングマン(Raul Jungmann)公安特別相によると、今回の取り締まりでは全国で警察官6600人前後が動員され、殺人の疑いが持たれている200人以上を含め、1000人以上の身柄を拘束した。

 当局によると、24日午後までに警察が拘束したのは成人1027人と未成年75人。このうち、14人がフェミサイド、143人がドメスティックバイオレンス(DV)に関連する罪、225人がその他の殺人、224人が麻薬密売や武器の不法所持の容疑とされている。

 ジュングマン公安特別相は、一斉検挙の主要な対象は女性に対する暴力であることを明らかにし、「われわれにとって重要なのは人命を守り、何よりも、フェミサイドと闘うことだ。これは、容認できない恐ろしい犯罪だ」と述べた。

 非営利団体「ブラジル公安フォーラム(Brazilian Forum for Public Security)」が今月に発表した年次報告書によると、昨年に女性が犠牲となった殺人事件の件数は前年比6%増。これらの事件にはフェミサイドの犠牲者1133人が含まれており、さらに昨年のレイプ発生件数は前年比8%余り増の6万18件だった。(c)AFP