■「不必要に命を失っている」

 南アフリカ医師会(SAMA)のクワズールー・ナタール州代表、ムブイシ・ムズクワ(Mvuyisi Mzukwa)氏は、「専門医らは失意のなか辞めていった。彼らは自分の存在に意義を見いだせなかった。ここはもう壊滅状態にある」と嘆いた。

 アブラット氏によると、経済ハブのヨハネスブルクでは、がん治療にあたる医療関係者の数も減り続けており、東部ムプマランガ(Mpumalanga)州でもがん専門医は一人もいない。

 ダーバンにあるNGO緩和ケアセンター「CANSA」には、3人の子どもを持つヘンドリック・プリンスルー(Hendrik Prinsloo)さん(64)がいた。彼が口腔がんの治療を受けたのは、診断から1年以上がたってからだったという。「患者は家に追い返される。病院は、放射線療法のためにまた連絡すると言うが、電話は永遠にかかってこない」

 CANSAの看護師は、「診断から治療までの期間が長すぎるために患者らの命が失われている。治療までの期間…実際に治療を受ける機会があればの話だが」と語った。

「胸が締め付けられ、本当に絶望する。私たちは、不必要に命を失っている」 (c)AFP/Susan NJANJI