■米同盟国が「核の傘」失う恐れ

 トランプ政権下で同盟国との関係が変化しつつある状況も、国際情勢の先行き不透明感を高めている。米国の「核の傘」に長年守られてきた同盟国は、ホワイトハウス(White House)の後ろ盾を失う可能性を懸念している。専門家らはその後ろ盾がなくなった場合、自前で核兵器の開発を志向する国々が増える恐れがあると警戒している。

 ただ、現時点で焦点となっているのはイランだ。米国は、イランが核開発を制限する見返りとして同国への経済制裁を緩和する合意から離脱すると表明。これを受けてイランはNPT脱退の可能性を警告している。IISSのフィッツパトリック氏は、脱退国を出さないことがNPTの信頼性にとって必要不可欠だと述べ、新たに核保有に踏み込む国が出てくればNPTの信頼性に「ひび」が入りかねないと強調した。

 一方、核兵器の全面禁止を求める声は高まっており、2017年には国連(UN)で核兵器禁止条約(Nuclear Weapons Ban Treaty)が120か国以上の賛成で採択された。(c)AFP/Daphné BENOIT