【7月1日 AFP】米国やロシア(当時はソビエト連邦)などが核拡散防止条約(NPT)に署名してから50年を迎える中、専門家の間では、軍拡競争や米国と同盟国の関係の変化が核兵器の開発を新たに促しかねないとの見方が広がっている。

 キューバ危機で世界が核戦争の危機にひんしてから6年後の1968年7月1日に署名開放されたNPTは、核攻撃による大惨事のリスクを劇的に低下させたとして高く評価されている。NPTは安全保障面の不安要因である核保有国と、原子力の開発を希望する非核保有国のバランスを取る試みだった。

 これで国連安全保障理事会(UN Security Council)の常任理事国で、当時既に核兵器を保有していた米国、ロシア、中国、フランス、英国の5か国は保有継続を認められ、その代わりに核軍縮を義務付けられた。一方の非核保有国は核兵器を一切開発しないことに同意し、原子力の平和利用で常任理事国5か国の支援を受けることになった。

 NPTは核不拡散の取り組みの要となり、現在は191か国・地域が締約している。英シンクタンク「国際戦略研究所(IISS)」の米ワシントン支部で核不拡散政策を担当しているマーク・フィッツパトリック(Mark Fitzpatrick)氏は、「NPTは核保有国を10か国未満に抑制する驚くべき成果を収めてきた」と語った。

 この条約は核軍縮にも予想以上の効果をもたらし、米国とロシアが冷戦時代の核軍備を大幅に縮小したことによって、世界の核兵器数は85%も減少した。