【6月8日 AFP】世界自然保護基金(WWF)は8日、地中海が「プラスチックの海」になる可能性があると警告する報告書を公表した。WWFは、地中海は世界で最もプラスチック汚染の影響を受けている海域の一つだとし、浄化が必要だと呼び掛けている。

 WWFによると、地中海中の「マイクロプラスチック」の量は記録的なレベルだという。マイクロプラスチックは5ミリ未満の微小なプラスチック片のことで、食物連鎖の中で多くみられるようになっており、人体への影響も懸念されている。

 WWFは報告書「Out of the Plastic Trap: Saving the Mediterranean from Plastic Pollution(プラスチックのわなからの脱却:プラスチック汚染から地中海を守る)」で、世界の他の外海と比較すると、地中海の「マイクロプラスチックの密度は4倍になる」と指摘している。

 地中海に漂う廃棄物および海岸の廃棄物の95%をプラスチックが占めており、その大部分はトルコ、スペインからのもので、続いてイタリア、エジプト、フランスからが多いという。

 問題解決のためには、プラスチックの廃棄を減らし海を浄化する国際的な合意が必要だと、WWFは訴えている。地中海周辺諸国は2025年までにリサイクルを推進し、使い捨てプラスチックの使用を禁止し、洗剤や化粧品に含まれるマイクロプラスチックの使用を段階的に廃止すべきだという。

 プラスチック業界については、再生可能な原材料から作られたリサイクル可能な製品または分解して堆肥化が可能な製品の開発を呼び掛けている。また個人としても、プラスチックではなく木製の製品を使うといった選択を通じて貢献できると述べている。(c)AFP