【2月27日 AFP】欧州経済への中国の影響力に対して懸念が高まる中、欧州を代表する企業や空港への中国からの投資にフランスやドイツが警戒感を強めている。

 仏政府筋が26日に明らかにしたところによると、同政府はハブ空港として急成長している南部トゥールーズ(Toulouse)の空港の株式10%を中国の企業連合へ売却せず、株式の過半数譲渡を阻止する方針だという。

 中国国営の山東高速集団(Shandong Hi-Speed Group)と香港を拠点とする富泰資産管理(Friedmann Pacific Asset Management)の企業連合は2015年、トゥールーズの空港の株式49.99%を取得。

 仏政府は株式10.01%を売却するオプションも持っていたが、地元団体などはエドゥアール・フィリップ(Edouard Philippe)首相に売却を控えるよう要請。地元団体は中国の企業連合が空港の資金を運営面ではなく、配当金の最大化を図るために利用していると訴えていた。

 仏政府筋はAFPに対し、「株式10.01%を譲渡するつもりはない」との見解を示した。

 また、ドイツ政府も同国経済への中国の影響に強い警戒感を示している。

 メルセデス・ベンツ(Mercedes Benz)を傘下に置く自動車大手ダイムラー(Daimler)は先週、中国自動車大手の吉利汽車(Geely Automobile)の李書福(Li Shufu)会長がダイムラーの株式9.69%を72億ユーロ(約9500億円)で取得し、筆頭株主になったと明らかにした。

 これを受けブリギッテ・ツィプリース(Brigitte Zypries)独経済・エネルギー相は26日、日刊紙シュツットガルト新聞(Stuttgarter Zeitung)のインタビューに応じ、李氏の動きについて「非常に注意深く見守る必要がある」と語り、懸念を表明した。

 またツィプリース氏は別のインタビューで、ドイツが「市場に沿ったものである限り、投資を歓迎する開かれた経済」であると述べた一方、それが「他国政策の利益のための手段として利用されてはならない」と強調した。(c)AFP