■地下ネットワークの製造施設、中国に集中

 WHOは世界で流通する医薬品の約10%が偽物だと推定しているが、この数字は一部の国々、特にアフリカ諸国では70%に跳ね上がることもある。

 米国熱帯医学会(American Society of Tropical Medicine and Hygiene)の2015年の推計によると、サハラ以南アフリカでは5歳未満の子ども12万2000人が、粗悪な抗マラリア薬や抗生物質が原因で死亡したとされている。抗マラリア薬と抗生物質は最も需要のある薬だが、その一方で使用期限切れのものや粗悪な模造品の流通が多い薬でもある。

 国際刑事警察機構(インターポール、InterpolICPO)は昨年8月、ベナン、ブルキナファソ、コートジボワール、マリ、ニジェール、ナイジェリア、トーゴの7か国から警察官、税関職員、公衆衛生当局者ら1000人余りを動員し、西アフリカで大規模な摘発を実施、偽造薬420トンを押収したことを発表した。

 仏製薬大手サノフィ(Sanofi)の偽造医薬品対策部長によると、ヘロインや偽札関連のビジネスでは、投資額の20倍程度のリターンが見込めるのに対し、偽造薬ではその数字が500倍にもなり得るという。

 サノフィは2016年、偽造医薬品シンジケートの違法製造施設27か所の解体に協力した。そのうち22か所の所在地は中国で、その他はインドネシア、ウクライナ、ポーランドだった。(c)AFP/Christophe KOFFI