■「核拡散防止条約の精神に反する」との批判

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏は大統領選に勝利した後の2016年12月、米国は核能力を「大いに強化し拡大」するべきだと主張。大統領に就任して数日以内に新たな核政策の策定を要求した。

 小型核兵器の開発は、米軍による戦地での使用を見越した「核兵器による戦闘」を可能にすることを意図したものではないとNPRは述べている。また米国が核兵器を使用するのは「極限状況」のみだと明言し、「米国および同盟国、協力関係にある国々の国民やインフラ、指揮統制、および警告・攻撃評価能力などが攻撃」された場合としている。

 核不拡散を目指す米首都ワシントンの無党派シンクタンク、スティムソンセンター(Stimson Center)の共同創設者であるバリー・ブレッチマン(Barry Blechman)氏は、新たな方針は1968年に調印された核拡散防止条約の精神に反すると批判し、「安全保障にとって核兵器は必須だと主張する他の多くの国に勢いを与えかねない」と述べた。

 NPRは、核拡散防止条約に対する米国の責任は「依然として大きい」と述べながらも、「現在の情勢では、核軍縮に向けた近い将来の前進は極めて困難だ」と続けている。

 一方、新たな政策は紛争の増加や核拡散防止条約の精神からの逸脱につながるとの批判に対し、米シンクタンク、ヘリテージ財団(Heritage Foundation)の上級政策アナリスト、ミカエラ・ダッジ(Michaela Dodge)氏は異議を唱える。AFPの取材に応じたダッジ氏は、NPRは「核政策の課題の難しさを十分に理解した人々によって真剣に策定されている」と主張した。

 国防総省は、今回のNPR草案はまだ「決定の前段階」にあり、トランプ大統領からも承認を受けていないとしてコメントを避けている。最終的な内容は2月2日に発表される予定となっている。(c)AFP/Thomas WATKINS