■1兆分の1以下の濃度でも検知

 実験で被験者らは、E2Dを検知して体を後方に傾けた。それもごく少量に対しての反応だった。

 実験の結果を受けて、スウェーデン・リンショーピング大学(Linkoping University)の動物学者マティアス・ラスカ(Matthias Laska)氏は、「人はE2Dを1兆分の1以下の濃度でも検知できる」「これは珍しいことで、これまでに試された付臭剤の大半は、100万分の1や10億分の1が検知閾値だった」と説明した。

 実験ではまた、「微小発汗」の計測の他、視覚テストの反応時間も計測した。ここでは迅速で正確な解答が脅威の感知を表した。

 3つの実験のすべてで、E2Dにさらされた被験者はストレスと恐れの兆候を示した。

 研究者らは、人の反応が捕食動物ではなく、被捕食動物と同様のものだったことについてはさほど驚きはないと語る。論文では「日和見的に捕食者として存在してきたと考えられている人類だが、古生物学のデータを見ると、初期の霊長類は身体が小さく昆虫などを捕食していた」としながら、マンモスなどの大型動物を狩るようになったのはヒトの歴史の上ではつい最近のことだと指摘された。

 E2Dは、血液中の脂質が酸素にさらされて崩壊する際の副産物として発生する。(c)AFP/Marlowe HOOD