■「最悪なのは誰も来ないこと」

 ポルトガルの首都リスボン(Lisbon)で最も古い町並みが残るアルファマ(Alfama)地区でも、観光客の急増は住民に大きな悪影響を及ぼしている。観光客向けのアパートが至る所に増えたせいで家賃が高騰。「月1000ユーロ(約13万円)未満の家賃のアパートがなかなか見つからなくなった。ポルトガル人の月収は一般的にこれより低いことを考えれば、今の家賃は高過ぎる」と、地元の町並み保存協会の代表は言う。

 人里離れたスコットランドのスカイ島でさえ観光客が増え、環境被害や居住施設の不足といった苦情が住民から出始めている。

 一方で、抗議と批判にさらされたスペインのマリアノ・ラホイ(Mariano Rajoy)首相は、同国の経済成長の11パーセントを担っているのは観光業だと擁護した。

 国連世界観光機関(UNWTO)のタレブ・リファイ(Taleb Rifai)事務局長も、観光業にノーを突き付けることには反対だ。「観光ブームはうれしい悲鳴。最悪なのは、誰も来ないことなのだから」と話している。(c)AFP/Daniel BOSQUE