■市民の信頼を回復

 ジャイプールの公園では、ベージュ色の制服に白いヘルメットを被った1人の女性警察官がスクーターから降りると、サリーを着た女性グループに近づいて警察官だと名乗った。「電話をかけるかワッツアップ(WhatsApp)のメッセージでも、われわれにつながります」と警察官は伝え、名刺を配った。

「あなた方の身元が明かされることはありませんから、ためらわずに苦情を訴えてください。誰かに冷やかされたり、なんらかの形で迷惑を掛けられたりしたら、私たちに知らせてください。自力で解決しようとしないでください」

 女性グループは、部隊の他のメンバー同様に格闘技の訓練を受け、何か月もかけて法律を学んだその女性警察官の威厳に満ちた態度に感心したようで、電話一本で助けが来ると分かって安心した様子だった。

 2012年12月に首都ニューデリー(New Delhi)で医学生に対する集団レイプ殺人事件が起きると、インドは暴力事件の深刻さについて国際社会から厳しい目を向けられた。この事件を受けて性犯罪者を処罰する法律は厳格化されたが、それでも犯罪は後を絶たない。2015年にはニューデリーだけでも2199件のレイプ事件が報告されており、平均すると1日に6件にもなる。

 インド警察は全警察官の3分の1を女性とすることを目指して採用を進めているが、現時点ではまだその割合は少ない。ジャイプールの女性部隊も、昨年10月に創設されたウダイプール(Udaipur)の部隊に次いで、ラジャスタン州でまだ2つ目だ。

 シェカワット氏は「われわれの部隊はパトロールでどこに行ってもとても良い反響と前向きな成果を得ている」と言う。「(犯罪の)抑止力になっており、法と秩序の維持に欠かせない警察に対する市民の信頼を回復させている」

(c)AFP/Abhaya SRIVASTAVA