■より大きな懸念材料

 最大級の隕石よりもさらに懸念されているのは、数百万個存在するとされる直径15~140メートル級の小惑星の所在だ。

 1908年6月30日、このクラスに分類される直径40メートル級の隕石が、ロシア・シベリア(Siberia)のツングースカ(Tunguska)上空で爆発し、近代史上で最大規模の天体衝突を引き起こした。この時の爆風によって周囲2000平方キロメートルにわたり樹木約8000万本がなぎ倒された。アステロイドデーはこの日に合わせて定められた。

 ツングースカ規模の衝突事象が起きる頻度は、約300年に1回と考えられている。

 欧州宇宙機関(ESA)宇宙状況監視(SSA)計画のプログラムマネージャーを務めるニコラス・ボブリンスキー(Nicolas Bobrinsky)氏は「このタイプの小惑星が、仏パリ(Paris)やドイツなどの人口集中度が非常に高い地域に落下したらどうなるだろうか。まさしく大惨事となるだろう」と話す。

■接近天体を監視

 欧州は、人々に警告を発するための天体望遠鏡ネットワークの構築計画を進めている。

 約2年後に完成予定のこのネットワークは「全天を系統的に走査観測し、地球に接近中のあらゆる天体を検出する。天体の検出から衝突までの警戒時間は約2~3週間になると考えられる」と、ボブリスキー氏は説明した。

 これで少なくとも、住民を避難させたり、衝撃波に対する警告を発令したりする時間は稼げるようになるだろう。

 国際アステロイドデーは、「人類が直面する最大の課題」への一般の意識向上を図ることを目的として、国連(UN)によって定められた。(c)AFP/Mariëtte Le Roux