【6月24日 AFP】英国で計画が問題視されているイングランド(England)南西部ヒンクリーポイント(Hinkley Point)の原発建設を実行した場合、消費者のコスト負担が当初予想よりも数兆円規模で上回ることが分かった。英会計検査院(National Audit Office)が23日、明らかにした。

 この計画に沿った場合、英国のエネルギー消費者は今後35年間にわたって、電気料金に上乗せしたコスト負担を強いられる。会計検査院によれば、その総額は300億ポンド(約4兆2400億円)に上るという。

「ヒンクリーポイントにコストに見合う価値があるかどうかは何十年間も分からないだろう。それは現在の契約上の協約が維持されるかどうかに加え、外部要因に左右される。特に将来の化石燃料価格、代替発電である低炭素発電のコスト、エネルギー技術の進化、より広範な電力システムといった要因による」と検査院の報告書は述べている。

 フランス電力(EDF)と中国の国有企業・中国広核集団(CGN)の合弁事業として計画されているヒンクリーポイントは、英国で過去10年間で初めての原発計画で、大きな物議を醸し巨大契約が脅かされもしたが、昨年9月に合意に至った。

 英政府の合意が遅れた理由には、中国の関与に対する懸念があった。またEDF側が建設費をどうやって捻出するのかという点でも疑問の声が上がっていた。しかし英政府は最終的に、総事業費180億ポンド(約2兆5000億円)の計画を承認した。完成すれば英国の電力需要の7%を供給するとされている。(c)AFP